渋谷区を中心に首都圏で中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。今回はコロナ禍においてテナントとビルオーナーの厳しい現状をお伝えします。
居酒屋店舗が最も厳しい
大手居酒屋チェーン5社の店舗の閉鎖が420店舗、全体の店舗数の1割にのぼっているというニュースが流れていました。
ワタミのホームページのIRを見ると9月の売上高が対前年同月比で50.6%、客数が52.9%と依然として厳しい状況が続いています。
一方、回転すしの「スシロー」の9月の売上高が過去最高となっており、丸亀製麺を運営するトリドールの全店舗の9月の売上高も対前年同月比98.9%、客数は88.5%まで回復しています。
同じ飲食店舗でも明暗がはっきりわかれている
飲食店舗の復活組には、共通点があります。それは
①以前よりテイクアウトをしており、テイクアウトに違和感がないこと。
②お酒も出すが、食がメインであること。
③顧客層の中心がファミリーまたはママ友の店舗。
④都心中心部にも店はあるが主力店舗は郊外型またはロードサイド店舗。
落ち込みが激しいのは
①駅前中心に展開するビルイン型の店舗。
②お酒を飲むことがメインのお店。
③テイクアウト商品としては抵抗感がある食材を利用している。
となっています。
駅前のビル程、テナント確保が難しいという逆転現象が起きている!
先述したように大手居酒屋チェーンのお店が420店舗なくなるということは、お酒をメインとしている店舗程、厳しい状況が続いている可能性が高いといえます。
ザイマックス不動産研究所が公表した「ビルオーナーの実態調査2020(コロナ編)」によるとテナントからの賃料減額要請があったビルが72%、退去の申し入れが44%という非常に高い数値となっています。今回の新型コロナの影響は多くの業種に及びました。そのためオフィステナントからの減額申し入れも45%という高い数値ですが、店舗テナントからの賃料減額の申し入れは65%にも及んだと報告されています。
今までのビル経営は駅近である程高い家賃でもテナントが入りましたが、この状況ではテナントを誘致することすら難しい状況になりつつあります。
ビルオーナーも多額の借入をしてビルを建設しており、家賃を安易に下げることはできませんが、有力なテナント候補であった居酒屋チェーンという需要が蒸発したいま、多少賃料を下げても、コロナ禍でも影響を受けにくいテナントを確保し、長い空室期間をつくらないことが重要になってきます。
但し、ひとつ注意点があります。テナント側は賃料減額要請の根拠として、契約書上の「賃料の改訂」にたいてい記載されている「社会経済状況の変化」が起きたとして永続的な賃料減額を求めてくる場合があります。
その場合は、「新型コロナウイルスが終息するまで」という曖昧な表現ではなく、「半年間のみ」等期間を限定して対応する必要があります。その際には必ず覚書等文書を作成して双方捺印することをお薦め致します。
※気になるマンションの評価をご自身で調べることが可能です。
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