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2021年3月の東京都内の中古マンション市場

渋谷区や目黒区を中心に中古マンションの売買仲介をおこなっている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

今日は2021年3月までの東京都内の中古マンション市場を分析したいと思います。

中古マンションの在庫数は歴史的水準まで減少 

東京都の中古マンションの在庫数の推移(2021年3月現在)
東京都の中古マンションの在庫数の推移(2021年3月現在)

2021年3月現在の東京都内の中古マンションの在庫数は2019年1月と比較して約28.6%減の19,920戸、約8,000戸の減少となっています。

 

コロナ禍により、家がただ寝るだけの場所からテレワークにより仕事をする場所、家族と過ごす安全で心休まる場所としての重要性が高まり、売却をやめる人が増加する一方で、心の拠り所として購入したいという方が増えています。

 

特に賃貸マンションを借りていた独身の方が購入するケースが男女を問わず増加しています。

価格が上昇すると購入する専有面積は反比例して狭くなる! 

東京都内の中古マンションの成約㎡単価と専有面積の推移
東京都内の中古マンションの成約㎡単価と専有面積の推移

マイナス金利に加え、コロナ禍による各国の財政出動により、大量に市場にお金があふれ出したため、定価が無い不動産や株といった資産の価値が大幅に上昇する一方で、一般の方が働いて得るお金はそれほど増えていません。

 

マイナス金利の恩恵を受けた住宅ローンの金利も0.625%程度が当たり前になって久しくなり、自ずと購入できる住宅価格は年収の7倍~8倍程度となっています。

 

マンションの価格は「平米単価×専有面積」で決まるため価格があがれば専有面積は狭くなってしまいます。

 

もう一つの要因は先ほどお話させて頂いた単身者の住宅購入が増加しているため、専有面積が狭くなっています。また専有面積が狭い物件ほど、一般的㎡単価は上昇するので、その影響も少なからず大きいと考えます。

 

本来であればテレワークの環境をつくりたいため面積を増やしたいところですが、都心部のマンションの購入では厳しい状況といえます。

 

そのため、郊外の戸建てや駅から離れた郊外の新築マンションの販売が好調となっています。

 

週に1回や月に2~3回程度の出勤であれば、駅から遠くても構わない。むしろ、広い家で「おうち時間」を大切にしたいという方が増加しているのです。

やはり利便性が一番?? 

東京都内の中古マンションの成約件数の推移
東京都内の中古マンションの成約件数の推移

葉山や鎌倉といったエリアがコロナ禍により、注目を集め、都心部一極集中の状態が崩れてきたことは、ある意味選択肢が広がったことで歓迎すべきことですが、やはり将来を見据えた中で、都心部のマンションは根強い人気があります。

 

上記グラフで見るように東京都内の中古マンションの販売状況は、既にコロナ禍前より過熱しています。

 

一方で、東京都23区内でも2025年には人口が減少すると言われており、既にコロナ禍で東京都23区内の人口は流出人口の方が増加していますが、新型コロナが収束した場合、都心部派と郊外派のどちらに軍配があがるのでしょうか??

 

私は、住宅購入は、本来、自らの人生の楽しみと豊かさを得るためのものであり、値段が上がったとか下がったとかはあまり重要ではないと考えています。仮に上昇した場合は、固定資産税や都市計画税といった維持費が増えてしまいます。

 

投資は現金で回収して初めて投資が終わるのものであり、売却するつもりがないのであれば価格の変動に一喜一憂してもあまり意味がありません。

 

都心部や駅近は人が集めるため、利便性が高いですが、駅から離れた戸建ては、地域に住む人口が減少すれば自ずと生活利便性は悪くなります。医者もコンビニもガソリンスタンドも人が一定数いないと商売になりません。

 

郊外の物件を購入する場合には、人気が衰えず、様々な年代の方が住まわれるエリアを選ぶと良いと思います。

 

実はマンションも同じで、新築マンションを購入する世代はほぼ30代~40代が多く、誰も住み替えないと、そのまま居住者も年齢を重ねていき、やがて老朽化はマンションだけでなく、そこで暮らす住む住民にも訪れることになります。

 

ある程度住人が入れ替わることにより街が成熟するように、マンションも居住者の入れ替わりにより成熟したマンションになっていくものだと思います。