渋谷区を中心に中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
今日は前回お話させて頂いた漏水についての続編です。的は外していませんでしたが、残念ながら私の予測と少し場所が違っていました。
ジョリパットの亀裂は縦目地部分にも
前回の原因究明の調査で、3年程前に行われた大規模修繕工事の瑕疵の可能性もあるとして、大規模修繕工事を行った施工業者による再調査が行われ、私も急きょ立ち会わせて頂きました。
そこでわかったのが、当初の調査で立ち上がり部分の横のラインにジョリパッドにカッターで切ったような亀裂が入っていましたが、縦目地の部分にも亀裂が入っていました。
施工業者の担当者曰く、縦目地に亀裂が入っており、そこから侵入した水が下に落ち、ALCの立ち上がり部分で逃げ場が無くなり、横に水が流れ出し、漏水に至ったのではないか?とのことでした。
実際に外壁部分の縦目地部分のジョリパッドに水をかけた実証実験をしたところ、外壁の内側部分に水がじわじわと浸透してきました。
この状況は当時の漏水を確認したテナント内装工事の所長が全く同じような現象だったとのことで、原因が特定できました。
大規模修繕ではジョリパッド内側のシールの打ち替えは対象外だった??
大規模修繕工事を行ったこの施工業者の担当者に「なぜシールの打ち替えをしなかったのか?まさか下地のシールがあることに気付かなかった?」と尋ねたところ、ジョリパッドの下にあるシールを打ち替えるにはジョリパッドのやり直しの費用もかかることになり、かなりの金額になるので、外見も見た目が悪くなる可能性もあり、そもそも修繕工事の対象にしていません。との回答が来ました。
この施工業者は「我々施工業者の瑕疵では無いことがはっきりしました。」というスタンスで、瑕疵ではないのでこのまま修繕工事を行わせて頂くかについては、管理会社の指示待ちになります。という回答でした。
また、縦目地部分については部分足場をたてる必要があるとの話も伺いました。
検討時間と工期は極力短期間で終わらせたいので、まずは依頼を受けた管理会社の担当者に至急報告書をあげます。」とのことでしたので、私は現場を離れましたが、どのような措置をするのか気になったのでで、後日行われる理事会にオーナーと一緒に出席させて頂き、内容を確認することにしました。
管理組合と管理会社の早急な対応に感謝。但し懸念も??
オーナーから私の出席を事前に理事会に伝えてもらい、理事会に出席させて頂きました。
管理会社からは、シールの打ち替えについては、3年程前の大規模修繕工事の際に議題にあがったが、
①ジョリパッドの部分まで影響が及び、工事費用が大幅に増加する。
②ジョリパッドの下なので通常劣化の原因となる太陽の光やゴミ等の影響は少なく、劣化速度は遅い。
とのことで大規模修繕工事の対象から外した旨の説明がありました。
私は、シリコン系シーリング材でも10年程度、ウレタン系であれば5~10年程度の耐用年数と言われており、大規模修繕工事の際には打ち替えが当たり前という認識であり、また、ジョリパッドの下にあるシール材の劣化状況を実際にサンプル等を採取して確認したのか?を訪ねたところ、数カ所で点検したが劣化は見られず、今回の場所はたまたまやっていなかったとの回答が返ってきました。
今回の漏水箇所の劣化状況は結構見た目でもわかる感じで、3年程度の期間で急激に悪化したものでは無いと感じ、また、先程の回答も、後付け的でしたので、調査報告書の提示を求めようと思いましたが、これ以上先に進まないと思い、修繕工事の早急のお願いを優先しました。
ありがたいことに参加した理事の方々からは満場一致で了解を頂き、なんとか、テナント工事も工程通り進みそうで一安心しました。
ただ、気になったのは既に劣化して亀裂が生じている横目地のシール材は打ち替えないというのです。理由は今回漏水が発見された部分より低い部分(床下部分)の亀裂であり、内装工事に影響が無いという理由からとの事でした。
見えていないだけで水が浸入した場合それを放置すれば、建物の劣化に影響するのでは?と疑問を提示したところ、管理会社からは「お金がかかるので」との回答が返ってきました。
なんでも費用をかけろとは言いませんが、既に劣化状況が確認できている、いわゆる「事後工事」に当たる内容なのに、
「お金がかかるのでやらない」と後回しにする発想では、建物の寿命が縮まりかねないと言いかけましたが、議題が反れてしまうと思い、今回はそれ以上は言いませんでした。
今回の私の使命は、「早急な修繕工事」と「漏水により発生したテナントの追加工事費用を管理組合に負担してもらうお願い」でしした。
漏水の可能性がある部分の修繕工事を放置すれば、建物にも良くないし、テナントの損害も膨らんでしまうので、この部分の修繕工事の了承を速やかに頂いたことについては、管理会社を含め理事会に感謝しています。
しかし、漏水による被害の補償については、今後の議題ということになりました。管理会社曰く、「一度補償等を認めるとそれが前例になり、何でも補償ということになりかねい」という発言がありました。
区分所有建物の外壁部分は共有部分であり、区分所有者が勝手に何か出来るものではなく、またかなり多額の管理費と修繕積立金を毎月支払ってるオーナーには全く非が無いのに、テナントの損害部分をオーナー一人(区分所有者)に負担させようとするのは如何なものか?とそこだけは苦言を呈しました。
そもそも管理会社の親会社が分譲した物件であり、シール材の打ち替えを考慮しない建物を建てたこと自体に問題があるのでは?と感じましたが、また話がややこしくなるので、今回は、「7月いっぱいで修繕工事を終えること」と「テナントの損害部分の補償のお願い」の2つの議題を約束してもらい、帰宅の途につきました。
今後、話がスムーズに進むかは不明ですが、あらためて、大規模修繕工事を考慮した建物作りがこれからのSDGsの社会では必要不可欠と痛感しました。
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