渋谷区を中心に中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
今回は弊社が発注者の代理人として立ち会った解体工事のうちアスベスト除去工事が終わりその報告書が届きましたので、どのようにアスベスト除去工事が行われたのか、概略を説明したいと思います。
今回工期は20日程でしたが、防護服を着て、アスベスト除去工事を行うレベル1から比較的除去工事が楽なレベル3まで含んだ工事であったため、いろいろと勉強になりました。
今回解体工事の対象となったのは、RC造3階建ての病院で建物の延床面積は220坪ほどありました。
煙突内の断熱材がレベル1の除去工事でしたが、密封された場所であったため、アスベストの飛散防止には有利な場所であったと思います。
更にレベル1の工事はセキュリティーゾーンを設置して、付着したアスベストを飛散させないようにし防護服を着脱する場所を設けての作業であり、これが一番費用と手間がかかります。但し、これも密封性が非常に高いレントゲン室をうまく活用したので、屋外に設置するセキュリティーゾーンよりは手間も費用も安く済んだものと思われます。
外壁材で使われたアスベストが飛散しないよう下記左側の写真のように、通常足場で使うシートとは違う厚手のシートを使うため、作業する人は風が全く通らないため作業環境は劣悪でした。
特に夏場でしたので、適度な水分補給をしないと熱中症になる恐れがありましたが、発注者がお隣にお住まいで、お茶を適時出して頂いたため、熱中症になった作業員は一人もいなかったようです。
また今回は長野県中部の地方自治体内での解体工事で、アスベストに関する法改正が2021年4月に行われてから初となる大規模解体工事のため労働基準監督署もかなり注力したアスベスト撤去工事となりました。
アスベスト除去工事の関係法令
アスベスト撤去工事(特定粉じん排出等作業)は各地方自治体の長あてに届出書を提出し、計画書は各地方自治体の労働基準監督署長宛に提出します。
関係法令は
①労働安全衛生法
②石綿障害予防規則(石綿則)*平成21年4月1日施行(平成26年6月1日一部改正)
③大気汚染防止法(大防法) *平成26年6月1日一部改正
④廃棄物の処理および清掃に関する法律(廃棄物処理法)
➄自治体の条例
関係図書としては
①既存建築物の吹付けアスベスト粉塵飛散防止(2006年9月 財団法人日本建築センター作成)
②新版 建築物の解体工事における石綿粉塵への曝露防止マニュアル(2009年12月 建設業労働災害防止協会作成)
③建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル(2014年6月 社団法人日本作業環境測定協会)
と多岐にわたります。
アスベスト除去工事の施工計画書の内容
アスベスト除去工事にはまず発注者名と工事施工者を記載しなければいけません。
そのうえで、
①総則 工事範囲や関係法令、計画書で使用する用語の定義を記載
②施工概要 工事にかかわる業者等の連絡先や工事場所や施工方法を記載
③工程表 工程表と近隣へのお知らせ
③施工組織 現場の管理体制と事故が発生した際の緊急時の連絡先
④施工方法 施工のフローチャートや使用する器具等の説明
➄安全衛生 作業員の健康管理体制の説明
⑥環境測定 作業前、作業中、作業後の粉塵濃度の測定
⑦排石綿の処理 石綿の処分方法や最終処分場の位置等を記載
⑧緊急時の対応 保護マスクのつまりや保護服が破損した場合の処理方法や予防対策
⑨資料 作業員の連絡先、保有資格、使用した機材の商品カタログ等
という構成になっています。
今回は無事労働基準監督署の検査も終了し、本体部分の解体工事に着手しています。また解体工事が終了した際にはブログで報告したいと思っています。
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