渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
今日は2021年4月21日の国土交通省令で民間資格から国家資格となった賃貸住宅経営管理士の移行講習についてお話ししたいと思います。
私は賃貸住宅経営管理士の資格ができたころ、不動産証券化部分の講師を数年間やらせて頂いた時期があり、私にとっても国家資格へ格上げになったことは感慨深い想いでいっぱいです。
私も7月に移行講習をネット受講により受けましたが、その内容の多くがサブリース業者への規制に関する内容であり、サブリース事業への規制強化が強く反映された内容であると感じました。
賃貸住宅管理業法とは?
2020年6月に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)」が制定されました。
この法律は
・賃貸住宅管理業を営む者についての登録制度の創設
・サブリース事業の規制からなる法律
の2本柱で構成されています。
賃貸管理業について、賃貸住宅管理業者の登録制度を取り入れ、「管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理業を営むためには、国土交通大臣の登録を受けたうえで、業務の規律を守らなければならない」としています。
ここでいう賃貸住宅とは人の生活の本拠として使用する場合のみを指します。
ウイークリーマンションの場合は利用者の滞在期間が長期に及ぶ場合や、施設の衛生上の維持管理責任が利用者(居住者)にある場合には賃貸住宅に該当するとしています。
サブリース事業の適正化のための制度として、賃貸人とサブリース業者の間の契約(マスターリース)を特定賃貸借契約、サブリース業者を特定転貸事業者と定義したうえで、誇大広告等の禁止や不当な勧誘等の禁止、重要事項説明や締結時の書面交付の義務づけなど、特定賃貸借契約の勧誘と契約締結行為についての規律を定めています。
サブリース事業の適正化を図るための規律の適用対象については、特定転貸事業者に加え、特定賃貸借契約の勧誘を行う者も規制の対象に含めるとしています。
自分がサブリース業者でなくても、建設会社や仲介会社、金融機関、FP等が建設請負や売買仲介、融資、コンサルティング報酬を得る等の場合において関連性を有しながら勧誘を行う場合も規制の対象になりうるとし、勧誘者が勧誘行為を第三者に委託する場合もサブリースの勧誘者になるとしています。
更に規律の違反に対しては、行政による監督がなされ、また、厳罰も科されることになっています。
賃貸住宅管理業法制定の背景?
法律制定の背景には住宅の所有に関する消費者ニーズの変化により借地や借家を希望する人が増加したこと(コロナ禍では持ち家志向が再び増加傾向にありますが)や、賃貸住宅が国の住環境を支える社会基盤になっており、その中で賃貸住宅の管理会社と委託しているオーナーとのトラブルが非常に多くなっていることがあげられます。
以前は不動産オーナーは管理業を自ら行っている方が多かったのですが、人々の意識の変化や時代の変化により、より多くの専門知識や多くの手間がかかることから、令和元年の調査では実に約81.5%のオーナーが管理を委託するようになっています。
そのような状況下で、サブリース事業者が、将来の家賃変動の際の条件や賃料下落リスク等を説明せずに、実態とは異なる「安心の35年一括借り上げ」「10年間家賃変動無」「修繕負担無」等の誇大広告や営業を行い、それらに伴うトラブルが多発したことが背景にあります。
極めつけは2018年に経営破綻したスマートデイズが運営していた「かぼちゃの馬車」です。サブリース業者であるスマートデイズがサブリース業を適切に実施する能力を有していないにもかかわらず、スルガ銀行や建設会社、住宅販売会社等と連携して、適切な説明を行うことなく賃貸住宅事業へサラリーマン等を誘引し、被害が拡大しました。
被害総額は負債60億円、未払家賃23億円、12,000戸を管理という規模でした。
そもそも「かぼちゃの馬車」という名前を付けていたこと自体、首謀者がまやかしであること知っていて行った確信犯ではないか?と当時は業界内で言われていました。
今後は、適切に事業を行うサブリース業者と淘汰されていく業者で、はっきりと明暗が分かれると思われますので、今後の流れを注視していきたいと思います。
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