渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
都心五区の8月のオフィスビルの平均空室率が6.31%、渋谷区の空室率が6.67%になったとオフィス仲介大手の三鬼商事から発表がありました。
株価は3万円台を回復し、自民党総裁選と次期衆議院選という格好の材料により、大いに盛り上がっていますが、一部では、コロナ禍による実態経済の景気悪化が改善されずに長期化するのではないか?と懸念されています。
不動産業界はテレワークの普及と巣ごもり需要により、住宅の売買が活況になっている一方で、資材の高騰や職人不足による人件費の高騰で、建築系の動きが鈍くなりつつあり、不動産にもその影響が波及してくるのではないか?とも感じています。
渋谷には多くのIT企業があり、それらがいち早くオフィスを解約し、テレワーク主体の働き方に変えたことにより、空室率が高めに推移しており、「今後もこの動きは暫く続くのではないか?」とか「人が集まって議論しないと革新的なアイデアは生まれないのでテレワークは縮小しよう」という声もあり、どちらに動くは予想がつきません。
話は本題に戻しますが、同じ渋谷区内であっても、渋谷区北側の京王新線エリアはオフィスの募集賃料が非常に安くなっています。
一方100年に一度と言われる大規模開発が続く渋谷駅周辺エリアとお洒落な街の印象が強い恵比寿・広尾エリアは高い募集賃料となっています。
代々木・千駄ヶ谷エリアは代々木は専門学校や学習塾系、千駄ヶ谷エリアはアパレル系の企業が多く、大規模オフィスは限られています。
オフィス規模による賃料格差
オフィス規模による賃料格差が広がっています。大規模フロアを借りる企業は自社のオフィスフロア内の共有スペースにフリースペースやカフェ、トレニーングゾーンや酸素カプセル等いろいろな付加価値をつけて、優秀な人材を集めようとしています。
IT系企業は究極、パソコンと優秀な人材、データ保管場所があれば良いため、利益率は非常に高い構造です。
工場等への設備投資等が不要のため、ある程度事業が軌道に乗れば、その分を人件費と設備が整った快適なオフィスにお金を回します。
以前であれば、ベンチャーは雑居ビルの一角で事業を開始しましたが、今は最新ビルでのシェアオフィスが主流となりつつあります。
これにより、小型ビルの需要は一気にしぼみ、賃料がじり貧で安くなる構図となっています。
弊社は現在、初台にありますが、今回、幡ヶ谷に移転することになりましたが、移転先は雑居ビルの2階で坪13,000円程度なので、ほぼデータと同じ価格となっています。
5年程度前であれば、坪18,000円は下らない賃料相場だったと、地元の切れ者の不動産会社の社長に言われ、京王新線エリアの小規模オフィスの地盤沈下が進んでいる実態を身をもって感じました。
オフィス規模による実際の賃料差について
上記表は大規模オフィスを規準として、他の規模のオフィスがどれくらい価格が下がっているかを表した表です。データは三幸エステートのオフィスマーケットデータを基に作成しています。
オフィス規模の定義はワンフロアの面積が
大規模ビル 200坪以上
大型ビル 100坪以上200坪未満
中型ビル 50坪以上100坪未満
小型ビル 20坪以上50坪未満
となっています。
地域の特性により下落率はそれぞれ異なりますが、「渋谷・道玄坂エリア」は人気が高いため、どの規模のオフィスでも賃料が高い。
「桜丘・南平台エリア」及び「恵比寿・広尾エリア」は大規模ビルと小型ビルとのスペックの違い(設備・築年数等)がありすぎるために価格差が激しい。
「代々木・千駄ヶ谷エリア」はそもそも大規模ビルが限られており、また、原宿というファッション最先端エリアには大手から零細まで多くの企業があり、そのバックヤードとしての必然性から、小型ビルから大型ビルまで多様な需要があるためビルの規模による価格差が付きにくい。
また代々木エリアは専門学校とそれに付随する企業と住宅エリアが混在しているため、一般的な企業の需要は他のエリアに比べて低いといえます。
「初台・本町・笹塚エリア」は特に笹塚にCASIO、NTT東日本、伊藤園、小田急不動産、LOTTE、富士急など多くの企業が集まり、古くからの交通の要所なのですが、多くの有名企業は自社ビル又は大規模ビルのオペラシティに集約され、後は、国道20号線沿いに築年数が経過した中小ビルが建っている構図となっており、賃料相場が相対的に低くなっています。また、新宿区と中野区との区界に近く、オフィスが集約する新宿のバックヤード的な面と京王新線という支線が主要ルートであることも値段が安い要因となっているものと思われます。
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