渋谷区で主に中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
先週、数年ぶりにエアコン設置業務の手伝いをしました。
設置業務の手伝いと言っても、作業するプロの技術者の脇について、道具を手渡す、いわゆる丁稚(手元)で、実際の作業はほぼしていません。
とは言っても丁稚は棟梁が要求する材料や工具を素早く、そして、タイミング良く手渡せないといけないので、「一流の丁稚は一流の棟梁になれる」と言われています。
エアコン設置にはトルクレンチやリーマ、真空ポンプなど様々な工具が必要で、電気をつなげるため、基本的に電気工事士の資格も必要になります。
ちなみに私も電気工事士の資格は保有していますが、かつて、ドサ回りをしていた頃、活線での作業でストリッパーに電気が流れ、ストリッパーが焼け焦げになったことがトラウマになっており、もう何年も作業していないので、ほぼほぼ素人状態です。
また、マンションであれば、それほど苦労しないで設置できる場合も多いのですが、都心部で敷地に目一杯で建設された3階建ての戸建て等の場合には、室外機が隣地のフェンスぎりぎりに設置してあり、隣地に入らせて頂いてやっと作業が出来るスペースが確保できたり、冷媒の配管材料である銅管で出来たペアコイルをかなり無理して曲げないと室外機に取り付けることが出来ない場所にしか室外機を設置出来ない、といった様々なシチュエーションに出くわします。
また、室内でも単純に外付けタイプであれば良いですが、天井埋め込み型や押し入れ上部に設置するタイプなどは、交換する際に、大工工事も必要な場合があり、多能工と言われる、なんでも出来るスペシャリストの技術者でないと設置できない場合があります。
今回は、上記内容が全て当てはまる難工事でした。
ペアコイルの折り曲げは慎重に、ペアコイル内は真空状態にする!
まず室内で苦労したのは、天井吊り下げ式で押入上部の壁からエアコンが噴き出すタイプでした。
新築時に設置するのであれば楽ですが、まず押入の天板を外し、ボルトで吊るしてあるエアコンを壁などを傷つけないように外し、全く同寸法のエアコンは無いので、類似タイプを設置しましたが、作業スペースが限られているうえ、収まりも厳しく、垂木を一度外してまた、組みなおす等かなり苦労しました。
エアコンが昔と比べてかなり軽量になっている点は助かりました。
既存の室外機はフェンスと壁の間にあり、室外機の設置台からこれを外すのがかなり難儀でした。
2階から下に伸ばしてあるペアコイルは隠ぺい配管なので基本それを利用して配管は一切いじらないという内容でしたが、作業をしていて、途中で折り曲げてあるペアコイル部分が怪しかったので確認するために触ったら、破損の可能性があったため、念のため、その手前から切断し、つなぎを入れてその部分を新品に交換しました。
家主曰く、2階のエアコンの利きがかなり前から悪いと言っておられたので、おそらく配管が一部破損していたため、ガスが抜けていたのでは無いか?と思われます。
お客様からのオーダーは既存の配管にエアコンを取り付けて欲しいとの要望なので、そのまま既存の配管の状態を確認せずに、設置しても施行者の責任では無いかもしれませんが、怪しい部分を確認する作業で問題になる部分を事前につぶしておくことが出来ました。
また、エアコンの設置の際に、冷媒によるガスパージという簡易な方法でエアコン内部の空気や水分などを取り除く手法がありますが、これをやると冷媒は圧力が高いため、冷媒不足となり、能力低下や故障を起こす原因となります。
そのため、必ず真空ポンプ式の器具を使ってエアパ-ジをすることが、能力低下や故障を防ぎ、環境にも良いです。
最近はガスパージをやる業者は減ったようですが、真空ポンプは値段も高いし、時間もかかるため、未だに、ガスパージを行っている業者がいるようなので、もしエアコンを設置する際に、業者に依頼する場合には、真空ポンプ式のエアパージ方法で工事を行うか、確認し、設置作業も確認しましょう。
掲載している写真が真空ポンプで、作業開始時は湯気が出て、ポコポコというかデュワンデュワンというような音がしますが、時間が経つとその音がしなくなってきますので、それが作業終了の目安となります。
エアコンの不調は多くが施工不良の場合が多い!?
エアコン設置には結構多くの工程と工具、そして手間暇がかかります。
私がゼネコンに勤務していた頃、エアコン設置業者の社長が多い時には一人で15台以上設置したことがあると豪語していたことを思い出しますが、真空ポンプ式のエアパージを行った場合はどんなに少なく見積もっても1機15分×20台なので、それだけで5時間かかります。エアコン設置には試運転もあるので早くても1台1時間以上はかかるので、物理的に1日15台以上は丁寧な工事をしていたら無理だと思います。
また銅管を切った後に銅管のバリを取り除くリーマという器具での作業もありますが、これも手抜きをしても、通常発注者はそのような工程を知らないので、手抜きをされていることさえもわかりません。
エアコンは設置場所により、ドレーンホース、ペアコイル、電気配線の長さに大きな差が出たり、作業場所により、付帯作業も相当出てきます。
壁への穴開けや、コンセントが設置したい場所に無い場合には電気工事、配管工事を行った後の穴埋めや配管のテープ巻き仕上げ等です。また、既存のエアコンの引き取り代も必要です。
現地調査をしていない見積を信用していると、途方もない金額がかかる場合がありますし、最初の出し値は安く、後から多額の追加費用を請求される場合もありますので、自分がエアコンを設置したい場所が少々手間がかかりそうだと感じたら、現地調査を必ずしてもらったうえで、見積もりを出してもらった方が良いと思います。