渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
都心5区のオフィスビルの空室率の上昇と募集家賃の下落が止まりません。
特に新築オフィスビルは偶発的な要因があるにせよ、15.12%という空室率になっています。
三鬼商事のレポートでは満室稼働の新築大規模ビルが既存ビルの区分にシフトしている事と、新築ビル1棟が募集面積を残して竣工した事などを要因としていますが、既存ビルの平均空室率が8月の6.25%から6.33%に上昇しているので、やはり相対的にはオフィスビルは入居よりも退去が進んでいると思われます。
平均空室率は19ヶ月連続で上昇し、平均賃料は14ヶ月連続で下落しています。
2021年9月の都心5区のオフィスビルの空室率は6.43%となっており、2020年2月の平均空室率が1.49%だったので実に約1年半の間に、空室率が4.3倍になっています。
毎月ジリジリと空室率が上昇しているので、月だけ見ていると大きな動きに感じられませんが、1年半で4.3倍の空室率は相当衝撃的な数字だと私は思っています。
平均空室率が最も高いのは港区で8.68%で、このままジリジリと空室率が上昇した場合、港区は空室率が10%前後になる可能性も否定できないと感じています。
次いで渋谷区の6.75%、新宿区の6.13%となっています。
千代田区の空室率は4.61%となっており、都心5区で唯一空室率が5%を切っています。
空室が増えれば賃料は下がる!
当たり前のことですが、需要と供給のバランスで空室が増えれば、賃料は下がります。
賃料を下げてもテナントが入居しないビルはやがて淘汰され、そのビルは解体され、単独で分譲マンションや収益マンションになるか、周囲を含めての再開発でオフィスやホテルなどになるのが一般的な傾向です。
今はコロナ禍なのでホテルは厳しいと思いますが、インバウンドが復活の兆しを見せればホテルの開発も再開するものと思われます。
マンションの価格が昔と比べて高くなったというのは、いまや常識ですが、実は需要と供給のバランスの他に、流通する物件が、新しくなり、設備や耐震面で格段にグレードアップされていることが価格上昇の要因にもなっています。
話を元に戻しますが、現在、新築オフィスビルの募集坪賃料が29,300円、既存ビルが20,765円となっており、新築ビルと既存ビルの価格差が約坪1万円となっています。
これが今後は既存ビルの性能が高くなっていくので、新築オフィスビルと既存オフィスビルの価格差が徐々に縮まっていくのではないかと思っています。
また、このまま募集賃料の下落が続いた場合、新築ビルで坪28,000円、既存ビルで坪19,000円程度が現時点で想定できる底になるのでは無いかと個人的には思っています。
SDGsの浸透や職人の減少による人件費の高騰により、解体工事費や建設工事費は、今後更に上昇する可能性があり、対投資効果で考えた場合、これより下がると採算が合わなくなり、新築ビルを建設しようと考える土地所有者やデベロッパーが限られてくるのではないか?と思っています。
日本は人口減少が既に始まっており、外国人の雇用を促進しない限り、オフィスも住宅も余剰になっていきます。
以前から何度も話していますが、世界の大都市と対等に渡り合える立地にある不動産は、今後もかなり高い評価を受け続けると思いますが、競争力の無い立地で設備の劣った建物は今後淘汰され諸滅していくものと思われます。
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