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土地の売買で気を付けたいこと(その1)

ポールの脇が仮設の電線、写真右手が仮設の汚水管
ポールの脇が仮設の電線、写真右手が仮設の汚水管

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

今日は、何度か取り上げている解体工事の現場でまたまた新たな問題が発生した事案について取り上げたいと思います。

 

建物の新築工事でもそうですが、建物の基礎工事には時間がかかります。基礎工事が終わり、建物がたちあがってくると見る見るうちに建物が高くなっていきますが、その前の基礎工事が一番コストと時間がかかります。

 

解体工事も実は同じで、3階程度の低層の建物であれば、表面に見える建物は意外とすんなり壊れるのですが、基礎部分の工事が大変です。

 

しかも地面下の基礎を壊すので、地震のような振動がおき、周囲の建物にもその振動が伝播します。

 

このことをしっかり近隣の方にご説明しておかないとトラブルのもとになるので注意が必要です。

 

さて、本題に戻しますが、建物の基礎部分の解体も終盤にさしかかっていましたが、解体業者が重機で誤って地中に埋まっていた汚水管と電設官を破損してしまいました。

 

電設官が地中に埋まっていることは解体工事前から確認しており、それ自体は驚かなったのですが、隣地の汚水管が、売地の敷地を通って、処理されていることについては、売買時に調べた段階では、下水管図に記載が無くびっくりしました。

 

今回、病院を解体してその土地を売却するのですが、そもそも、ご自宅の隣地の土地を購入して、診療所を開設し、その後、高度経済成長と共に、いけいけどんどんで大きくなった病院でしたので、まさか売るという想定はしていないのは当然です。

 

そのため、病院を拡張したり、蔵や倉庫を建設する度にその場でやりやすいように、工事業者が排水管を通したものと思われますが、ご自宅と売地の双方の至るところに点検口が設置してあり、ルートが不明なものが数か所確認出来ました。

 

いまは雨水処理は敷地内で完結するように役所の方で指導されているようですが、昔は敷地脇を通る水路に放流していたよなので、使わなくなった雨水管も複数ありました。

 

今回の汚水管の破損により、他人敷地となる売地に売却しない自宅の汚水管が通っていることが判明しました。

 

「災い転じて福となす」ではありませんが、おそらく、解体業者が汚水管を破損していなければ、汚水管があることを気づかずに引渡しをしてしまい、後日、新たな建物が建設されるときに発見というようなことが十分にあり得た訳で、結果良かったと思っています。

 

但し、敷地内に汚水管を引き直すのに100万円程度かかるとのことで、アスベストレベル1の発見に続き、売主様にとって痛い出費となりそうです。

売主様からの事前の聞き取り調査が重要! 

今回、痛感したのが、売主様へのヒアリングをもっと十分に行うべきであったということです。

 

売主様は不動産については全くわかりません。とのお話で、現地の現況と役所調査を中心に売買を行いましたが、売主様と何度もお会いして、雑談をしていくうちに、いろいろなことが判明していきました。

 

いくつかあげると

・病院を建てる前はこの土地は田んぼだった。

・今の村道はあぜ道のようで、使い勝手が悪かったので、周囲に配慮して病院の敷地を道路として、近隣の方に使ってもらっていたが、いつの間にか全部が村道の扱いになってしまった。

・ご自宅の前の道路はそのような状況であったため、電気も下水も無かったので、電機は県道から引き、地中配管にした。下水は裏のあぜ道の所有者に了解を得て使わせてもらった。

・ご自宅の裏手に他人敷地に通じる門があるが、回覧を回すため作ったもので、他人の敷地だけど自由に行き来している。

・周囲はもともと多くが親せきです。

・自宅の電気と解体する病院の電気の大元は1か所

等々、重要な話がいろいろでてきました

 

不動産についてとお聞きすると何もわからないという回答なのですが、雑談になると出るわ出るわで、地方の土地の売買の際には、いきなり土地というワードを出さずに、昔話や、お隣様との今のお付き合いの話をしていく中で、いろいろ状況を聞きして、その中で土地の情報を引き出すという、一見遠回りに感じますが、そのようなアプローチが極めて重要だと感じました。

 

相続が起こった後で、土地の売却を依頼されることが比較的多いのですが、お父様やお母様のどちらかでも元気のうちに、いろいろお話をお伺いしておくことが極めて重要だと感じました。

 

今回の売主様はまだまだお元気で、現役のお医者様ですので、昔のことをかなり鮮明に覚えており、大変助かっています。

 

最近終活がトレンドになっていますが、終活を行うのであれば、「ご所有不動産の履歴を残す」という項目は絶対に外せないものと考えます。