渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
今回、消防設備点検資格者の免許を更新するために法定講習を受けたので、皆さんの身近にある消火器についてのお話をしたいと思います。
今回は防火対象物に設置されている消火器が旧規格の消火器の場合は交換が必要というお話をさせて頂きます。
平成22年(2010年)12月22日総務省令第111号(平成23年1月1日施行)により、改正前の規格に基づき、すでに防火対象物に設置されている消火器については、令和3年(2021年)12月31日までは特例で設置が認められていましたが、既に令和4年になっているので早急に交換する必要があります。
防火対象物には「特定防火対象物」と「非特定防火対象物」がありますが、簡単に言ってしまえば不特定多数の人が利用するホテルや病院、複合建物などが「特定防火対象物」で、マンションや事務所、学校などはが「非特定防火対象物」になります。
新旧規格消火器の見分け方
製造年が2010年以前のものは、全てが「旧規格の消火器となっており、2012年以降のものは全て「新規格」になっています。
2011年に製造された消火器は適応火災表示が、下記のように旧規格と新規格とでは異なりますので、これで判断してください。
形式番号による確認方法もありますが、上記の方法で簡単に確認できるので、ここでは形式番号による確認方法については、割愛させて頂きます。
また消火器の設計標準使用期限は「おおむね10年」となっており、10年を経過した消火器は「耐圧性能点検」が必要になり、以後3年毎の耐圧性能試験が必要になります。
消火器の耐圧性能点検は特殊器具や安全を確保する必要があり、実際には新品に取り換える方が、ほとんどです。
ご家庭で任意に設置されている消火器には交換義務はありませんが、当該期間内での交換を推奨しています。
ちなみに、消防設備点検資格者が点検を済ませた消火器には「点検済証」というラベルを貼ります。
なお、上記内容は「業務用消火器」のお話で、住宅用消火器の耐用年数は5年、エアゾール式(スプレー式)の耐用年数は3年となっており、消火器内の薬剤の詰め替えはできない構造になっています。
不動産オーナーは旧消火器の交換が必要なことを知らない??
不動産管理会社会社が建物を管理している場合には、あまり心配することはありませんが、自主管理のアパートや雑居ビル等では、いまだに旧式の消火器を使用している場合が散見されます。
消火器を置かないと行けないという事は認識していますが、消火器に耐用年数があることや、製造から一定年数が経過した消火器は消防設備点検資格者が点検を行うか新しく購入する必要があることをわかっている方が少ないのが実情です。
特にアパートの外廊下等に設置してある消火器は底の鉄部が腐食して、使うと危険な状態になっている場合があります。
また中には20年以上放置したままというオーナーもいました。
消火器内は非常に高い圧力がかけられているので、レバーを引いた瞬間、底が抜けたり、破裂して使用者が実際に負傷者した事例が発生しています。
消火器は、手軽な消火設備として、人々に認知され、広く普及している一方で、適切な管理をしていないと人身事故が起きてしまう可能性が高い、安全と危険の双方を持ち合わせた器具です。
もし、ご自身の住んでいるアパートや働いている事務所等で、旧式の消火器が置かれていた場合は、オーナー又は管理会社に、新しい消火器に変えるように伝えてあげてください。
防火対象物のオーナー又は防火管理者等は、適切な消防に対する管理を怠った場合、法令による罰則規定があります。
2022年1月以降は使用してはならない消火器を設置(放置?)した状態は、消防法違反となります。
詳細は一般社団法人日本消火器工業会のホームページをご覧ください。
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