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東京都における太陽光パネルの設置義務化とは?

東京都渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

東京都では全国で初めて、ハウスメーカーを含む建売業者やマンションデベロッパー(以下「義務対象事業者」と言います。)に対し、新築建物を建設する際に、原則、太陽光パネルの設置を義務付ける方針を示しています。

 

但し、これは全ての新築建物に対して、設置を義務付ける訳ではなく、義務化の対象はあくまでも、義務対象事業者が新築する建物に対してで、個人の方が発注者となる注文住宅であれば、太陽光パネルを設置しないという選択肢もあります。

 

また、東京都のホームページ内の「太陽光発電よくある質問」によると、義務対象事業者は年間2万㎡以上の住宅やビルを建築する大手事業者50社程度を見込んでいます。また、太陽光パネルをなんでも一律に設置しなければならない訳ではなく、どの建物に設置するかは、日照条件や住宅購入者の意向なども考慮して、柔軟に決定できる仕組みを検討しているようです。

太陽光パネル設置の義務化の背景とは?

東京都の方針によると、東京都は2030年の目標として、2000年比で都内の温室効果ガス排出量を50%に削減する目標(カーボンハーフ)を掲げており、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの導入は必要不可欠な政策となっているためです。

 

昨今における夏や冬の電力ひっ迫やロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー危機の長期化に備えて、HTTの観点(エネルギーを減らす(H)、創る(T)、蓄める(T))から、あらゆる対策を講じ、都民、事業者とともに総力戦で危機を乗り切るためとしています。

 

資料を読んでいくと東京を取り巻く社会経済の動向で、コロナによる経済の落ち込みをリカバリーするための新たな経済活動の必要性、ロシアによるウクライナへの侵攻によるエネルギー安全保障、気候変動、若い世代の環境への高い意識など、様々な内容が記載されてますが、東京都の人口減少は今後減少に転じるが、2030年には単独世帯が50%を超えることについても、義務化と因果関係があるかのような記載もありました。

 

確かに世帯数が増加すれば、その分各家庭でエアコンやテレビを使用すれば、電力を使用する量は増えるかもしれませんが、今の時代はファミリーでも一緒にテレビを見るというよりは各自のスマホをいじっている時間の方が多く、世帯数の増加による電力需要はそれ程、甚大な影響を及ぼすとは思えません。

 

世帯数増加を強調するのであれば、電子データの処理スピードの高速化や増え続ける大量のデータの保存やビットコインの採掘等に伴う膨大な電力消費をいかに今後は抑えていくか?といった問題の方がはるかに議論されるべきかと、コイン的には感じています。

 

また、米国のニューヨーク市やカルフォルニア州の取り組みや、EUやドイツのベルリンでの取り組みも紹介しており、世界が温暖化対策を進める中、世界でも有数の巨大都市である東京都の世界における立場と役割についても強調している内容となっています。

太陽光パネルをつけると特するのか??

先述した東京都のホームページ内の「太陽光発電よくある質問」では、標準的な戸建て住宅に4Kwの太陽光発電を設置する費用は約92万円の費用がかかるのに対して、月々1万円かかっていた電気代が、電気代削減と売電により月額7,700円、年92,400円もお得になり、10年程度で元が取れると記載されています。

 

更に東京都の補助金も利用すれば6年程度で元が取れるという計算になっています。

 

但し、太陽光発電もやはり設備機器なので、初期投資とは別にパワーコンディショナーの買替や使用済みのパネルの廃棄にお金がかかります。

 

私は、だいぶ前になりますが、いくつかのメーカーの太陽光発電設置の講習を受けた際に、太陽光パネルが鳥の糞や落ち葉、その他砂塵等により汚れた場合には、出力が落ちる点や、太陽光パネルの反射光や蓄電設備の騒音などによる近隣住民とのトラブルといった問題点があることも教わりました。

 

今は、既に改善されている部分も多いかもしれませんが、今後、近隣同士のトラブが急増する可能性もあります。

 

また、太陽光パネルの汚れや設備が正常に作動しているか定期的に点検を行う必要があります。

 

定期点検は最低でも4年に一度は行う必要があり、屋根の上という高所作業に加え、電気工事士の資格も必要なので、点検費用はそれなりのコストがかかります。

 

金額は3万円から5万円程度は見て置いた方が良いと思います。

 

太陽光パネルが設置可能な住宅は都内で約180万棟あるが設置済みは5%程度しかないため、補助金のによる誘導からハウスメーカーへの義務化による設置率の引き上げを狙っています。

 

既存の住宅への太陽光パネルの普及が進まない大きな理由は、家の所有者が太陽光パネルの設置を行うと、雨漏り等が生じた場合、家を建設したハウスメーカー等の保証が受けれれなくなってしまう点です。

 

太陽光パネルの設置の講習では防水性の高いブチルゴムを使用して、太陽光パネルを設置した接続部分を補強する体側は取っていますが、ハウスメーカーとしては屋根に穴をあける以上責任は取れないというスタンスも最もであり、既存住宅への太陽光パネルの設置は依然として厳しいかもしれません。

 

太陽光発電は天気に左右され、また、電気が余っている場合には売電出来ない等の問題点もまだまだありますが、太陽光発電設置義務の最大の理由は、地球の温暖化を抑制し、次世代の人に美しい地球を残すという大義のためということを忘れてはいけません。

 

この大義の裏で一儲けする企業や人は必ず存在するかとは思いますが、やむを得ない事項かもしれません。

 

大きなメリットをあえて言うのであれば、災害時でも冷蔵庫の電源は切れずに食料を確保でき、スマホの充電も可能なため、プライスレスな緊急時のための防災用品として、とらえれば一定数の方は納得されるのではないでしょうか??