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吉祥寺のブランド価値は下がった??

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

2022年7月6日の日経新聞の朝刊の「東京・首都圏経済」の欄で「吉祥寺ブランド陰りか」というショッキングなタイトルが掲載されていましたが、本当に吉祥寺ブランドの価値は下がったのでしょうか?

 

確かに吉祥寺周辺のマンションは、あまり中古マンションの売り物件が少ないイメージがあったのですが、今日調べてみたら、旧耐震の物件が多いものの、中古物件の売出数は以前より増えている気がします。

 

しかしながら、私は吉祥寺ブランドの価値が下がったのではなく、吉祥寺とその周辺エリアはジェントリフィケーションがまさに始まっているのだと感じています。

本当に力のある街は周囲に影響範囲を拡大して行く!!

日経新聞の記事には、40代の方にとっては、若いときに「Hanako」などの雑誌やテレビで吉祥寺が特集され、お洒落で個性的な街というイメージが定着している一方で、今の20代~30代は、コスパが高くゆっくり過ごせることを重視するため、割高な店が多い吉祥寺より、割安に過ごせる街の人気が高くなりやすいとのコメントを掲載しています。

 

確かに吉祥寺はコロナ禍前から、家賃が高騰して、賃料が支払えなくなって出ていかざるを得なくなった。とか不動産ファンドの進出が地価や家賃の高騰を招いていると指摘されていましたが、この状況はまさに吉祥寺がニューヨークのソーホーと同じ道を歩み、周辺、地域まで活性化させているという前向きな考え方をしても良いのでは?と私は考えています。

 

ソーホーについては2022年6月22日に投稿した「ジェントリフィケーションて何?」に記載しておりますので、そちらをご覧ください。

 

吉祥寺は、吉祥駅を中心に広範囲にわたり、飲食店や雑貨店、ファションブランド店等が無数にあり、南口には井の頭公園という豊かな自然に恵まれ、井の頭公園西園の南には三鷹の森ジブリ美術館があります。

 

更に新宿にも渋谷にも電車が直結しており、交通の要衝でありながら、自然豊かな街という、潜在能力がとても高い街です。

 

2000年あたりから既に、吉祥寺北口中心部のハモニカ横丁及びその周辺一帯は、初めて個人でお店を出店する人にとっては、家賃が高すぎてリスクが高いため、東急百貨店より西側の吉祥寺本町2丁目周辺(東急裏)に出店し、このエリアが賑わうようになりました。

 

するとこの賑わいを感じ取った大手が次々と出店し、このエリアも家賃が高くなりました。

 

その結果、今度は新たな店を開こうとする人々は、より家賃が安い西荻窪に流れるようになり、西荻窪にはお洒落な雑貨店や飲食店が多くなっています。

 

私のお客様で写真家の方も西荻窪に6年程前に土地を購入して、自宅兼ギャラリーを建設されています。その際に西荻窪から吉祥寺周辺の土地を一緒に探し回りましたが、その当時から意外とお洒落なお店があったと記憶しています。

否定的な見解は無難な対応方法

人間は太古の昔から自らの生命を守るためと種の保存のために、常に悲観的な見方をしてきました。

 

その名残もあり、経済でもなんでも楽観的な見解をする方よりも、悲観的な見方をする方の方が賢く見えてしまうし、説得力があります。

 

特に日本の場合は否定的な見解が多く発信されているのではないでしょうか?

 

ニューヨークと同じように、ジェントリフィケーションを前向きに捉えれば、吉祥寺とその周辺は郊外の一大拠点としての不動の地位を更に広げていく可能性があるのではないか?と思っています。

 

確かに吉祥寺はブランド店や大手飲食店が目立つようになり、個性のある街の輝きが失われつつあるかも知れませんが、それは街が成熟した証ともいえます。

 

渋谷、新宿、銀座、池袋みな同じような店があり、必ず大手ブランド店が進出しています。何度かブログに掲載させて頂いていますが「住む場所はその人の年収で決まる」という不動産の原則と同じように、人気のある街は高い賃料を支払うことが出来る企業のみが出店できるようになります。

 

高い賃料を支払って、そのお店単体が赤字であったとしても、広告塔としての機能を十分に果たしているのであれば、企業としてそのお店が赤字経営でも何の問題も無いのです。

 

 

その点、個人等で新たなお店を出す人はその店舗が赤字になったら終わりです。

 

そのため、賃料が安いが魅力的な街になりそうなエリアには、起業家精神を持った人たちが集まり、それが相乗効果となって、そこから街が発展していきます。

 

ニューヨークでも東京でも世界中どこでも起業家精神を持った人々によって、新たな街並みが形成されていくのかも知れません。

 

但し、これは潜在的な魅力を持つエリアに限られます。吉祥寺のように面的な広がりを魅せているのは、今はコロナ禍で厳しい状況ですが、外国人で活気を取り戻した浅草や上野周辺、企業が進出している横浜みなとみらい周辺の桜木町から石川町といった街として、もともと潜在能力が高い(歴史的建造物や大きな公園、海などがある)、ごく一部のエリアに限られます。

 

現在、多くの商品はネット販売が主流になりつつあり、店頭販売には限界がきているとも言われており、個人店はより個性的な店づくりやオリジナル商品を開発していかないと厳しい時代となっています。

 

実際に手で触れて、そのお店の雰囲気を味わうことは大切だと思いますし、そのようなお店が無くなってしまうのは寂しいので是非とも頑張って欲しいと思います。

 

私もウインドウショッピングではなく、実際にお店に行き、商品を買ったり、食事をしたいと思います。