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水害にあったらどうすればいいのか??

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

今年は7月後半から8月にかけて線状降水帯の発生により各地で河川が氾濫し、住宅に甚大な被害が発生しています。

 

万一、豪雨により浸水被害にあってしまった場合どうすれば良いのでしょうか?

 

住宅を購入する場合、多くの人が住宅ローンを組んで購入しますが、決済時に住宅ローンの担保として金融機関から火災保険への加入を義務付けられます。

 

火災保険は、名前は火災ですが、火災だけでなく、自然災害やガス漏れによる爆発の被害等にも対応しています。

 

勿論、豪雨による水害も保険対象になりますが、必ず、水災補償に加入しておく必要があります。

 

昨今の自然災害の中でも水害は最も深刻かつ頻発する災害ですが、水災補償に入っていないと、保険は適用されません。 

水災補償を受けられる条件とは? 

水災補償を受けられる一般的な要件としては

①住居部分の床を超える浸水(床上浸水)

②地盤面から45㎝を超える浸水(床下浸水)

③建物や家財の再調達価格の30%以上の損害

上記のいずれかを満たした場合、保険金が支払われます。

 

但し、保険料を抑えるために、家財保険に入っていない場合には、当然家財の被害部分は保険の対象外になります。

 

また、マンション1階部分は水災補償に入るべきですが、上層階の場合は、上記要件に該当する水災の被害に遭うケースはほとんど無いので、水災補償自体を外す場合が多いのですが、稀にですがベランダの雨水が排水しきれずに、室内が浸水する事例もあります。

 

私が知っている身近な事例では、サッシが外国製で品質が悪かったうえに、マンション上階の住民がベランダから共用部の配水管が詰まってしまうような粘土質の土が混ざった家庭菜園で利用した水や枝葉を大量に流した結果、共用部の排水管が詰まり、豪雨の際に下層階の住戸に水が浸水し、土嚢をベランダに置いたという事例がありました。

 

これは、上階の住民の過失もあり、マンション全体の管理費と共用部の保険でなんとか対応しましたが、このような事例もあり得るのでマンションでも浸水被害が絶対に起こらないと言い切れません。

 

レアケースではありますが、万全な対策をしたい方はマンションでも水災補償に加入しておくという選択肢もあるかも知れません。

 

火災保険は以前にもブログに記載させて頂いていますが2022年10月1日からの新規契約は全国平均で11%~13%程度引きあがることが公表されています。

 

契約期間も最長10年が5年に短縮されるので、長期契約の割引の恩恵が更に受けられなくなってきています。

 

近年、自然惨害は頻発しており、火災保険料は家計にも負担になるほど、高くなっているので、先述したようにマンション上層階は場合によっては水災補償はつけない、また、免責金額を高めにして保険料を抑えるという選択肢も考慮する必要があるかも知れません。

 

究極は、浸水ハザードエリアには住まないという選択です。保険料は戸建てやマンション、所在地、築年数によって異なります。

 

当然浸水ハザードエリア内の家は保険料が高くなり、マンションよりも戸建ての方が保険料は高くなります。

 

また、マンションの場合は、自分の部屋は浸水被害に遭わなくても、共用部の電気系統の設備が1階にある場合には、浸水被害により、電気が全く使えなくなることがあります。

 

そうなるとエレベーターもポンプを使っている場合は給水も出来なくなります。

 

また、戸建て住宅の場合、浸水被害に遭うと、そのあとの処置が大変です。

 

豪雨による浸水では、汚水も混ざった状態の非常に不衛生な水なので、木材等にばい菌が付着し、乾いてもばい菌はそのまま木材等に入り込んだ状態のままで、更に増殖し、匂いもきつくなります。

 

一度床上浸水でなく床下浸水でも浸水してしまうと、基礎部分の周辺の土が水圧で削られたり、木造部分が腐食したり、鉄筋コンクリートも将来的には浸水被害に遭わなかったときよりも、鉄筋部分に錆が発生し、土台自体が脆くなるリスクが増します。

 

人々は昔から、生命の源である水を求めて、河川の近くに集まり、集落をつくり、それが街へと発展してきました。

 

そのため、河川の近くに住むというのは人々にとって必然の選択肢でしたが、今は、水道や下水はしっかり整備されており、わざわざ浸水する危険性が高い河川周辺に住む必要はありません。

 

今後は、ハザートエリアには住まない、建売住宅を造らない又は造らせないというくらいの規制を設ける必要があるかも知れません。

 

日本は急速に人口が減少しており、税収も見込めず、更に自然災害が頻発している状態で、災害が起きる度に復旧や人命救助に多額の税金を投入し、あまり利用されなくなった道路も復旧させるでは、いくらお金があっても足りません。

 

日本国憲法第22条では、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」として、国民はどこに住んでも良いと保証されていますが、東日本大震災で、湾岸部で津波の危険性の高いエリアに住むことを規制したように、自然災害が発生するエリアに住宅を建設することに対して、一定の規制をしなければ、日本国全体が沈没してしまうのではないでしょうか??

保険金を実際に請求する際の注意点とは ?? 

実際に浸水被害に遭った場合は、一刻も早く、片づけをしたいというお気持ちはわかりますが、まず何よりも先に浸水被害にあった状況をしっかり写真に残しおく必要があります。

 

また、水が引いた後には必ず水があがってきた場所に痕が残るので、床上浸水の場合は、壁紙等に残った浸水の痕を床からメジャーをあてて、どれくらい浸水したのかが判る写真を撮ってください。

 

メジャーが無い場合は、寸法を計測しやすい物と一緒に写真を撮ってください。

 

実際の現場ではメジャーなどを周到に準備している人などはほとんどいないため、実際にはシャベルやペットボトルなどで代用します。

 

この写真は公的支援である罹災証明書(りさいしょうめいしょ)の申請にも利用できます。

 

写真撮影後は、片づけ等を行ってください。

 

また罹災証明書の発行を被災した場所の地方自治体に申請してください。

 

その後、損害保険会社の営業マンやカスタマーセンターに被災した日時や被害状況を報告します。

 

頭が真っ白になってしまった場合は、迷わず、被災した直後に担当の営業マンに連絡すれば、必要な手続き等や今後の生活についてのアドバスもしてくれます。

 

その後、保険金支払請求に必要な書類が送られてきますので、必要事項を記入します。

 

被災した状況を撮影した写真、罹災証明書、建設業者等による復旧にかかる費用の見積書などを必要書類をつけて、保険金の請求を行います。