渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
2013年度~2021年度(2021年4月~2022年3月)までの山手線の乗降者数の推移は下記のグラフのようになっており、JR山手線の利用者数はコロナが確認された月を含まない2018年度をピ-クに減少に転じました。
最悪期の2020年度は2018年度比で約37%も乗降者数が減少しました。
コロナと乗降者数の関係
2020年1月15日に日本で最初にコロナの感染が確認され、その後、多くの中国人が2月の春節で日本を訪れ、2月後半には、渡航経験の無い日本人にも感染が広がりを見せ始めたため、年間のうちわずか1ヶ月程度ですが2月後半から3月は多くの人が電車の利用を避けたため、増加し続けていた山手線の乗降者数は2019年度(2019年4月~2020年3月)は、わずかですが減少に転じました。
2020年3月13日に成立した新型コロナウイルス対策の特別法に基づく、緊急事態宣言が2020年4月7日に東京を含め7都府県に出され、鉄道利用者は激減しました。
その後、幾多に渡り、患者数は増減を繰り返し緊急事態宣言が数回にわたりだされるものの、ワクチン接種が進み、現在第7派になっていますが、政府も経済活動を止めるような動きにはなっておらず、徐々に人出は増加しています。
山手線の利用者数も2020年度(2020年4月~2021年3月)が底となり、2021年度(2021年4月~2022年3月)は増加に転じています。
但し、コロナが発生する前の2018年度の乗降者数と比較すると65.4%程度までしか回復していない状況です。
都心部における通勤電車の心臓部ともいえる山手線の乗降者数の推移は経済活動や人々の動向を見るうえでは非常に重要な指標です。
外国人観光客の激減だけでなく、大手企業のテレワークが進んだ結果、コロナが一定期間収束した期間を含む、2021年度の山手線の利用者数は2020年度の最悪期から約4.4%ちょっとしか利用者が増加していません。
また人混みを避け、通勤に車や自転車を利用する人や健康のため歩いて出勤する人も増えたことが、山手線利用者があまり増加しない一因になっている可能性もあります。
実際、私の身の回りでも、都心部のマンションに移り住んだ人は、コロナが収束しても前ほど鉄道を利用しなくなったと言う人がちらほらいます。
なお、JR東日本では乗車人員を公表していますが、他の私鉄路線等の多くは乗降者数を公表しているので、データを比較するため、弊社の使うデータは「乗車人員×2」の数値を乗降者数として採用しています。
山手線内の各駅の動向は??
2020年度の乗降者数は当然ながら全ての駅で激減していますが、注目は2021年度です。
2021年度の乗降者数は基本増加しているのですが、中には2020年度と比較して減少している駅が7駅もあります。
駅名は品川駅、大崎駅、神田駅、有楽町駅、新橋駅、浜松町駅、田町駅となっています。
共通するのは、大手企業の本社等が多くあるエリアです。
これら大手企業は国からの要請もあり、特に管理部門などはいち早くテレワークを導入し、現在は出勤とテレワークを使い分けるいわゆるハイブリット型の勤務になっています。
これにより、通勤定期を廃止した企業も多く、2020年度のコロナ最悪期とあまり変わらず、出勤しない人が多いのではないかと推測されます。
また、神田駅と有楽町駅はサラリーマンが集う酒場も多くあり、ここに繰り出す人もコロナ収束後も減っている可能性があります。
最近の傾向として早い時間帯は酒場は比較的混んでいますが、夜10時以降にはしご酒をする方は激減しています。
品川駅は巨大な品川プリンスホテルがあり、浜松町は羽田空港へ行くためのモノレールがあり、今年は行動制限が無い夏なので、旅行需要は戻っていますが、本データの観測地点である2021年度は2022年3月までのデータのため、旅行関連も盛り上がりに欠けていたものと推測されます。
田町駅はNECや森永製菓、三菱自動車、長谷工、NTTファシリティーズといった大手企業の本社のほか慶応義塾大学や芝浦工業大学、少し離れますが東海大学や明治学院大学などの学校があることも影響しているかも知れません。
一番増加したのは新宿駅、二番目は池袋駅、3番目は渋谷駅となっており、山手線の西側に位置するエリアは軒並み乗降者数が増加しています。
山手線エリアの苦戦は主に東南エリアとなっており、東側エリアで増加数が多かったのは東京駅となっています。
但し、増加人数が多い駅はいずれもJR東日本管内でベスト5に入る1日平均乗降者数が多い駅なので、人数だけ見れば当然の結果と言えるかもしれません。
2020年度比では渋谷駅が一番の11.9%、二番目は新宿の9.5%、三番目は池袋駅の8.3%となっています。
東京駅は4.3%の増加となっています。
なお詳細データはこちらから
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