渋谷区で主として中古マンションの売買仲介をおこなっている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
コロナ感染による1日の死者数が過去最も多くなっても、既に緊急事態宣言を政府は出さずに、コロナ禍前の状態に戻そうとしています。本年5月にも感染症5類への引き下げを検討していると伝えられており、コロナとの共存が否応なしに当たり前の生活になろうとしています。
「緊急事態宣言が出ない=コロナの補助金無し、ゼロゼロ融資の終わり、雇用調整助成金の正常化」により、企業の倒産が増加しています。
企業倒産の増加とテレワークの一部恒久化により、店舗を含む商業ビルやオフィスビルの空室率は必然的に高止まりしています。
昨年末に私が所属する不動産コンサル21研究会の忘年会で10年以上利用していた中国料理店のオーナーも遂に耐えきれなくなり、昨年11月に店を譲渡してしいました。人形町の街もラーメン店から居酒屋まで多くのお店が忘年会シーズンにもかかわらず、ガラガラでした。
また私の管理する商業店舗からも、コロナ禍では賃料減額のお願いなどありませんでしたが、光熱費の高騰とお客様が減ったとの事で今になって減額請求が届いています。コロナ禍よりも、補助金等が無くなってしまった今の状況の方が、商業店舗は苦しいのではないか?と日々感じています。
都心5区の空室率は6%半ばで推移
オフィスビル仲介大手の三鬼商事が毎月発表する最新オフィスビル市況によりますと、都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の2022年12月のオフィスビルの平均空室率は6.47%となっています。
原因は大型空室の募集開始や成約が小規模にとどまったことと結論づけています。
新築ビルの空室率は28.56%と相変わらず高い空室率となっていますが、昨年8月9月の空室率40%越えを考えれば幾分改善されている感があります。
オフィス賃料の下落が止まらない
空室率がこのところ6%台半ばで推移していますが、賃料の下落は長く続いています。都心5区の平均賃料は29ヶ月連続で下落しており、坪単価20,059円と2万円台の大台をあと数カ月もすれば割り込む勢いです。
新築オフィスビルは坪単価25,317円、既存ビルは坪単価19,952円となっており、下落基調が当たり前になっています。
これに伴い、J-REITを代表するオフィス銘柄である三井不動産系の日本ビルファンドの1月13日の終値は566,000円、三菱地所系のジャパンリアルエステイトは555,000円と60万円台を大きく割り込んで取引を終えています。
特にオフィスと割高感のあった物流系J-REIT銘柄の投資口価格は長期金利の上昇圧力も加わり下落が激しくなっています。
私はJ-REITが始まった当初から、投資口を継続して購入しており、この2大銘柄が60万円を割り込む場合は、今までは買いと判断していたのですが、今回はもっと下がるのでは無いかと感じています。
理由は先述した、テレワークの恒久化、コロナによる政府の企業への支援打ち切り、光熱費の高騰の3点です。
長引くコロナ禍により、人々の生活が変わり、働き方改革が定着し、オフィスに毎日出勤する必要が無くなった今、余剰なオフィス空間はお金の無駄になります。加えて、光熱費の高騰です。これらの固定費削減にはオフィス空間の縮小が、最もシンプルなコスト削減方法となります。
また、実は雇用調整助成金により、まじめに働く事ができなくなった人々が一定数おり、これらの方の生産性が著しく落ち込んでおり、お尻に火が付かない限り、コロナ禍前のように勤勉に働けなくなっています。
そうは言っても、企業は容易に社員をクビにはできません。働けるのに働かない人の増加により、人手不足や生産性が停滞するという事態が散見されており、これをまた、勤勉に働くように自発的に促すには相当時間がかかるものと思われます。
以上により、ここ数年はオフィス市場にとっては厳しい状況が続くものと思われます。
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