渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行なっている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
固定資産税評価額とは市区町村が土地や家を所有する人に対して、固定資産税を徴収するために評価した価格です。
固定資産税評価額を調べるには、各市区町村の資産税課の窓口に行き、固定資産の所有者本人であることの証明として運転免許証などの公的書類を提示し、必要書類に記載して提出することにより閲覧(取得)が可能です。
郵送でも取得可能で、また、代理人も委任状と代理人の本人確認書類があればOKです。
取得する費用は概ね1通300円程度でとなっています。
また、毎年、市区町村から6月に送られてくる「固定資産税・都市計画税納税通知書」にも固定資産税評価額が記載されています。
但し、例外として、私たちのような不動産業者は、不動産の所有者がご自身の物件を売却する目的で不動産会社と取り交わした媒介契約書に、公的書類を代理で取得する権利を与える旨の特約等の記載があれば、不動産業者はその媒介契約書と自身の従業員証明書があれば取得できます。
但し、対象物件以外の名寄帳の閲覧(取得)は出来ません。
ちなみに固定資産税は、毎年1月1日現在に各市区町村に備え付けられた固定資産税台帳に、土地や家の所有者として登録されている人に対して税金が課せられます。
固定資産税の標準となる税率は1.4%となっています。
固定資産税評価額は毎年評価が行われますが、評価証明書は1月~3月末、公課証明書は1月~5月末に取得しても、昨年度の評価額が記載されています。※詳しくはこちら
理由は、評価額の算出が間に合わないからです。そのため、この期間で不動産売買の決済が行われる場合には、前年度の固都税の額をそのまま引用し、「後日税額に変更があったとしても、再清算を行わないものとする」と言う特約を付けるのが、通例となっています。
固定資産税と同様に都市計画区域内の土地や建物を所有している人に対しては、都市計画税が徴収されますが、税率は0.3%が上限となっています。
課税のもとになる都市計画税の課税標準額は住宅地の場合、固定資産税の約2倍になっています。
市区町村によっては都市計画税の税率が0.3%以下の場所もあり、例えば、東京都国立市は税率が0.25%です。
また、東京都武蔵野市のように通常0.2%の都市計画税の税率を令和3年は新型コロナウイルス感染症による経済の悪化を理由に市民や市内の事業者を守るために0.1%に減額したという市区町村も、かなりの数に上ります。
東京23区では小規模宅地における都市計画税は東京都税条例附則第20条により、長らく都市計画税は「2分の1」に軽減されています。
ここでひとつ疑問が起こります。自分の土地でない土地、例えばこれからマイホーム用地などを購入したいエリアの固定資産税の税額はどうやって調べればいいのか?という疑問です。
固定資産税評価額がわかれば、固定資産税はわかりますが、基本、本人かその代理人しか評価証明書や公課証明書は取得できません。
土地には4つの価格が存在する!
実は他人の土地の固定資産税評価額を算出するには、路線価(相続税評価額)を使うのが一番簡単です。
路線価は国税局がホームページ上で公開しており、評価の対象となる土地が面している道路につけられた1㎡当たりの価格に当該土地の面積をかけて評価を出すやり方です。
但し、土地は評価しやすい整形地である場合がむしろ少ないため、その土地周辺の利用の仕方や間口の広さ、奥行き、道路付けにより、加算や減算が行われますが、その部分は専門的になってしまいますので、細かい説明は割愛させて頂きます。
固定資産税評価額は公示価格の約7割、相続税評価額は公示価格の約8割程度とされています。
では公示価格とは何でしょうか?公示価格とは国土交通省が地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が、適正な地価の形成に寄与するために、毎年1月1日時点における土地の正常な価格を毎年3月に公表することになってます。
令和4年は26,000地点で実施されており、この公示価格は実際価格は、ほぼ同額とされています。
但し、それぞれの土地は世界にひとつしか無いものであり、また、どうしても欲しい人がいれば価格は高騰します。実際に、近隣の公示価格よりもはるかに高い価格で取引されるケースも多々あります。
簡略化すると土地には四つの価格が存在することになります。
・実勢価格(取引価格) 不動産市場で実際に取引が行われた価格
・公示価格 国土交通省が公表する公的な価格 ※実勢価格と多くの場合ほぼ同額
・相続税評価額(路線価) 国税庁が相続税評価のために用いる価格 ※公示価格の約8割程度
・固定資産税評価額 市区町村が固定資産税に課税するために用いる価格 ※公示価格の約7割
となります。
他人の土地や建物の固定資産税評価額の調べ方
先述したように、市街地にある公道の多くには路線価が付いているため、この路線価を基に、公示価格を試算し、その資産した公示価格に対して約7割の評価が、固定資産税評価額となります。
この計算式により、自分が所有していない土地でも、おおよその相続税評価額がわかります。
実際に、前面道路の路線価が1㎡30万円で165㎡(約50坪)の整形地の固定資産税評価額を計算してみます。
路線価による評価額 30万円×165㎡=4,950万円
公示価格による評価額 4,950万円÷0.8=6,187.5万円
固定資産税評価額 6,187.5万円×0.7=4,331.25万円
という計算になります。これで固定資産税と都市計画税は
固定資産税 4,331.25万円×1.4%=606,375円(更地の場合)
土地に建物が建っていれば評価額は6分の1相当になるので
固定資産税評価額 7,218.75万円×1.4%=101,000円
都市計画税評価額 14,437.50万円×0.3%= 43,300円
となり年間の土地の固都税が約144,000円となります。
これが整形地でない場合にはその内容に応じて、例えば、固定資産税評価額が500万円、都市計画税評価額が1,000万円となり、固定遺産税7万円、都市計画税30,000円で年間の固都税は10万円になったりします。
話が少し脱線してしまいますが、相続で取得した実家が、今後、問題になっている「管理不全空き家」に認定され、固都税の優遇措置が除外された場合、建物の固都税が仮に6万円だとした場合、土地建物の合計の固都税が約20万円で済んでいたものが、70万円(内訳:本来の固都税約60万円+都市計画税約4万円+建物の固都税6万円)になってしまう可能性があります。
建物の固定資産税の評価方法は総務省が定めた「固定資産評価基準」に基づいて、再建築価格を基準として評価します。
この「再建築価格方式」は、評価時において、その建物を再建築したと仮定した場合の建築費を求め、それに対して、建物の経過年数を「経年減価補正率」を利用して減価させます。
新築の場合は、木造は0.8、非木造は0.9579が平均の建物減価補正率となっています。
また家屋の評価基準は経年減価補正率が下限を0.2と定めているため、建物が存在している間は、評価額が0になることはありません。
詳しく知りたい方は「総務省固定資産税の概要」をご覧ください。
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