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2024年東京23区の都市特性ランキング

パレスホテル東京 グランドキッチンからの眺め
パレスホテル東京 グランドキッチンからの眺め

渋谷区で中古マンションの売買仲介を中心に行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

森記念財団から日本の都市特性評価の2024年版の概要が公表されましたので、その中から東京23区のランキングを2018年からの時系列でみてみたいと思います。

 

この日本の都市特性評価では、「経済・ビジネス」「研究・開発」「文化・交流」「生活・居住」「環境」「交通・アクセス」の6分野に分け、その中で28指標グループを設定し、更にその28指標グループを構成する計87指標に細分化して分析し、都市特性を客観的に評価し、都市の強みや魅力を視覚化、更に定量データを使い都市戦略立案・検証に活用しやすいデータを公表しています。

 

ちなみに6分野の大項目に変更はありませんが、その他の細部の指標は時代に応じて変化しています。

 

この日本の都市特性評価は様々な角度から多角的に検証しているので、私たちのような不動産にかかわる仕事をしている人だけでなく、他分野の方やこれから不動産を購入したいと思っている多くの方々に見てもらいたいデータブックです。

 

詳細版は有料ですが、無料公開されているデータだけでも多くの情報を得ることができます。

 

森記念財団日本の都市特性評価2024はこちら

不動の千代田区が2位に転落!  

千代田区、港区、中央区は不動の御三家であり、その中でも圧倒的な強さを誇っていた首位の千代田区が港区にその座を明け渡すという波乱がおきています。

 

千代田区は官公庁や日本を代表する企業のオフィスが集積し、立法、司法、行政の三権の拠点となっています。

 

また世界屈指の外資系最高級クラスのホテルも集積しています。

 

その中でも日本勢も負けてはおらず、2012年5月17日に建て替えしたパレスホテルは、名称をパレスホテル東京に変更、非常にクオリティが高く、皇居の目の前(千代田区丸の内1-1-1)という立地が外国人にも好評です。

 

2024年7月4日に発表されたミシュランガイドのホテルセレクションにおける新たな評価である「ミシュランキー」で最高評価の3ミシュランキーにも選出されています。

 

更に、帝国ホテルも2,000億円から2,500億円をかけて2036年度に新本館と新タワー館を建設する予定になっています。

 

子育て支援も手厚く、また税務署の公表する年収ランキングでも申告給与所得者の平均給与は日本断トツとなっています(麹町税務署管轄内)。

 

更に皇居の存在による緑豊かな環境と皇居西側の番町麹町エリアは英国大使館をはじめ多くの大使館と高級マンションがあり、居住系として日本屈指の高級住宅街(マンション)エリアとなっています。

 

それにもかかわらず、今回は港区が首位に躍り出た大きな要因は虎ノ門エリアの複数の大規模開発が次々と完成し、本格的に稼働し、認知され始めたことが大きな要因と言えます。

 

虎ノ門エリアは、国家戦略特区プロジェクトにおける「国際的ビジネス拠点」地区に位置づけられており、外資系・金融系企業の誘致を受け、それに伴い、オフィスだけでなく、医療(虎の門病院の建替)、宿泊施設、インターナショナルスクール、文化施設、商業施設だけでなく国際化に対応した業務支援施設などが相次いで開業しています。

 

港区は外資系企業や米国大使館をはじめとする多くの大使館があり、国際色豊かなエリアであり、六本木ヒルズや東京ミッドタウン、虎ノ門ヒルズ、麻布台ヒルズと十数年にわたって次々に新たな大規模施設ができ、時代の最先端を行き、進化し続ける区です。

 

また港区麻布エリアは高級住宅街として高い人気を誇っています。

 

中央区は湾岸部にタワーマンションが次々と建設され、ファミリー世帯が多く移り住んでいます。

 

東京駅周辺へのアクセスも良く、住みやすさに加え、街路の清潔さが高い評価となっています。

 

最近ではオリンピック選手村跡地の「HARMI FLAG」の価格が高騰しているという話が盛んにニュースで取り上げられています。

 

中央区は日本橋、銀座、京橋、八重洲、人形町といった歴史ある商業エリアを擁しており魅力的な街となっています。

  

上記内容は私の意見と感想であり、日本の都市特性評価2024の概要に記載されている内容と異なるかもしれませんのでその場合は何卒ご了承ください。

渋谷区と新宿区が文京区に抜かれる! 

更に注目すべき内容は、都心最大級のターミナル駅がある新宿区と渋谷区が文京区に抜かれたことです。

 

文京区は東大をはじめとする大学や研究機関が多くあり、中学校や高校のレベルも高いことで有名です。

 

文京区は小石川植物園や小石川後楽園、教育の森公園などの大規模な公園や、護国寺やその他多くの大小の寺院や、椿山荘があり、緑あふれるエリアとなっています。

 

他の都心中心区と比較して、高層の大規模オフィスビルやタワーマンションが比較的少なく、年間の日照時間が長いことで高スコアがでています。

 

また鉄道だけでなく、バス停密度も高いため都市内交通の利便市が高いことも高評価につながっています。

 

長い間4位の座を守っていた新宿区は2021年に渋谷区に追い抜かれ、そのまま渋谷区がリードした状態が続いています。

 

この大きな要因は渋谷駅周辺の東急グループを核とした100年に一度の大最規模開発や渋谷区役所の再開発等によるものです。

 

更に渋谷駅周辺はベンチャー企業が集積し、ビジネスが活発化しており、大人の街へと変貌しています。

 

その一方で、ハロウィーンをきっかけに、路上でお酒を飲む人が増加したため、路上へのごみ捨てなどが問題となり、環境や治安が急激に悪化し、かなり問題となりました。

 

現在は、「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例」が2019年6月20日施行され、徐々に改善されています。

 

新宿駅周辺も今大きな動きが出ています。

 

まず、長年の懸案事項であったJR新宿駅の東口と西口の分断でしたが、新宿駅東西自由通路が2020年7月19日に完成しました。

 

歌舞伎町では東急歌舞伎町タワーが2023年4月14日に地上48階地下5階高さ約225mの超高層ビルがオープン、新宿駅西口では小田急百貨店新宿本店の跡地に地上48階高さ約260mの超高層ビルが建設中で2030年3月に竣工する予定となっています。

 

その後も京王電鉄とJR東日本による京王百貨店とルミネの建て替えも予定されています。

 

いましばらくは渋谷区のリードは続きますが、将来は再び新宿区がリードするかもしれません。 

江東区などその他のエリアは安定的 

江東区の豊洲エリアはタワーマンションがひしめき、千代田区のオフィス街等への通勤の利便性からニューリッチと言われるパワーカップルが多く移り住んでいます。

 

またNTTデータ、日本ユニシス、SCSK、アスクル、IHI、マルハニチロなどの大手企業の本社が集積しています。

 

品川駅西口も一大ビジネス街となっており、湾岸沿いにはタワーマンションがたくさん建っています。

 

台東区は長年低迷していましたが、外国人による再評価により、上野駅西側の上野恩賜公園の東京国立美術館、国立西洋美術館、東京都美術館、東京藝術大学上野キャンパス、寛永寺など芸術、文化、歴史的施設の充実度や脚光を浴び、更には一大観光名所の浅草などが高い評価を得ています。

 

目黒区は都心へのアクセスの良さと都心にありながら閑静な高級住宅街が広がるエリアです。