渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行なっている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
2023年3月18日に、「相鉄線の大進撃、さあ行こう。」と銘打って、相互乗り入れを開始した相鉄・東急線直通線が開業後4カ月が経過しました。この相互乗り入れにより、相鉄線は都心部で働く人々の新たなベットタウン候補としての地位を築こうとしています。
相鉄線は横浜駅を起点とした路線で二俣川駅で相鉄本線と相鉄いずみ野線に分かれ、終点が海老名駅と湘南台駅になりますが、全路線が神奈川県内を走っており、相鉄線の認知度調査では都内の回答者の実に7割が相鉄線を知らないと答えています。
高度経済成長期にはビックターミナル駅である横浜駅を中心にした営業展開でも問題ありませんでしたが、相鉄線の輸送人員は1995年度をピ-クに減少しています。
これは日本全国の人口が減少に転じた2008年よりも13年も早いペースとなっています。
都心部の鉄道路線が相互乗り入れに早くから着手していたのに対し、相鉄線は、都心への直通ルートが無かったため、相鉄線で育った多くの若い世代は社会人になってからは次々と相鉄線沿線から離れていきました。
下記の表を見ても、横浜市内の相鉄線が走る市の老年人口割合が、横浜市の平均よりも高くなっていることがわかります。
薄緑の表示の保土ヶ谷区、旭区、泉区、瀬谷区が該当する区となります。
相鉄線は横浜市中心部の西区も平沼橋駅や西横浜駅がありますが、京急線戸部駅や横浜駅が徒歩圏内のため除いています。
地理的にも開発に向かない立地がある!?
相鉄線の開発がなかなか進まなかった要因がもうひとつあります。
それは、横浜駅から西谷駅までの駅と並行して流れる帷子川(かたびらがわ)と国道16号線です。
これらが相鉄線とほぼ並行しているために、街が分断されてしまっており、面的な開発が難しいことが挙げられます。
鶴ヶ峰駅以西は帷子川と国道16号線が相鉄線から離れるために面開発が可能であり、現に、二俣川駅前は大規模な再開発が行われました。
この地理的な要因を解決するのはかなり難しく、小田急線も生田駅から読売ランド駅間は津久井道と五反田川が線路を挟むように並行して走っているため、街が発展していません。
目まぐるしい発展を遂げる海老名駅
2023年(2022年度)の 東急新横浜線の乗降者数は
日吉駅 定期 738人 定期外 5,735人 合計6,473人
新綱島駅 定期 522人 定期外13,272人 合計13,794人
新横浜駅 定期4,865人 定期外56,146人 合計61,011人
となっています。定期の購入者が少ないので、開業目当てで乗られた方もある程度いると思いますので、来年の乗降者数の発表を待たないと、実需がどのくらいあるのかは、実際にはわかりません。
但し、大和や海老名、湘南台方面の方の都心への利便性は一気に高まったのは事実です。
海老名駅周辺はこの新路線が開通する前から大規模再開発が進み、2015年10月29日には大型商業施設のララポート開業しており、商業店舗数は約260店舗あります。
2017年11月15日にはヴィナガーデンズテラス(飲食店等)、2022年2月1日にはヴィナガーデンズオフィス(オフィス)、2022年10月28日にはヴィナガーデンズピーチ(フィットネスクラブ、医療モール等)がそれぞれオープンしています。
また、小田急グループにより開発されたヴィナウオーク(ViNAWALK)は2002年4月19日に開業したショッピングモールで、海老名駅が発展するきっかけとなった大型ショッピングモールで、今も進化しています。
駅前にはリーファイアタワー海老名、グレーシアタワーズ海老名、ヴィナマークス等の大型タワーマンションがあります。
また、現在建設中で2024年2月に竣工予定のセントガーデン海老名は総戸数が1,000戸の大規模マンションとなっています。
このように都心部へ通うサラリーマンの新たなベットタウンとして注目されており、実際に、出張で新幹線を利用する際には新横浜駅利用なら海老名駅から最速25分となっており、利便性は非常に高いと言えます。
また、目黒線にも直結となったため、南北線を利用して永田町方面へ、都営三田線を利用して大手町方面へのアクセスも可能、一足先に開通した相鉄JR直通線を利用すれば新宿や池袋方面へも直通となるので、かなり広範囲まで、乗り換えの負担が少なく行けます。
但し、あまりにも相互乗り入れの路線が増えたので、1本乗り遅れると非常に時間がかかるとの話もちらほら出てきています。
キーワードは海老名市、大和市、座間市
先述したように海老名駅周辺は街がどんどん発展し、30代40代のファミリー層が中心となってマンションの購入を牽引しています。
そのため、これから子供の数も増えていくものと思われます。先に紹介した相鉄線の老年人口割合を見ると、海老名市、大和市、座間市は横浜市の平均よりも老年人口割合の値が低くなっています。
現在、都心部のマンションは上場企業の中でもトップクラスの一流企業の社員で無ければ、マイホームを購入すること自体が難しい程、価格が高騰しており、環境問題、資材の高騰、エネルギー問題、職人不足等による建設費の高騰は半永久的な課題であり、今後もこの状況は続くものと思われます。
そのような中で、やはり価格は上昇気味ではありますが、さいたま市や横浜市などの郊外では建売住宅もかなり販売されており、価格も都心部程高くはないため、都心部でのマイホームの購入を諦めた人たちがエリアを広げて、購入の検討を進めている流れが実際に数年前から起こっています。
相鉄線エリアの今後の発展はこれらの層をいかに相鉄線沿線に誘致するかにかかっていると思われます。
その流れは自然環境にも恵まれた海老名市を中心とした大和市、座間市の3市ではないでしょうか?
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