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2023年(2022年度)山手線の乗降者数の推移

渋谷区で主として中古の分譲マンションの仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

訪日外国人数が月ベースで、コロナ禍前を凌ぐ勢いで増加し、あちこちで外国人観光客を見かけるようになり、朝夕の通勤電車の混雑もすっかり戻った感がありますが、本当に鉄道の乗降者数はコロナ禍前に戻ったのでしょうか?

 

都心部の最も利用される鉄道路線である山手線の2023年(2022年度)の乗降者数を見て、判断していきたいと思います。

 

ちなみにJR東日本では各駅の利用者数を乗車人員としてカウントしていますが、多くの私鉄各線では乗降者数で公表していおり、物差しを統一にするために、本ブログでは「乗車人員×2=乗降者数」として数値化しています。

 

下記の4つのグラフは山手線内で最も利用者が多い、新宿駅、池袋駅、渋谷駅、東京駅の2015年度から2022年度の乗降者数の推移です。

 

いずれも2020年度が底で順調に乗降者数は上昇しています。

国を挙げてのアベノミクスと五輪誘致は侮れない 

下記の表は山手線各駅の乗降者数の推移をまとめたものです。

 

2022年度は2021年度と比較して確かに、全ての駅で乗降者数が増加しており、山手線内の各駅の乗降者数の合計は1日あたりで実に100万人も増加していますが、アベノミクスと五輪誘致が盛んであった2019年度をと比較すると実に約20%から25%程度乗降者数が減少しています。

 

乗降者数で比較すると1日あたり250万人も少ない状況です。

 

これを見るとコロナ禍で安倍元首相の手腕には賛否両論があり、アベノマスクなど一部の政策に対しては厳しい批評も受けていましたが、アベノミクスと五輪誘致が経済に与えた影響が非常に大きかったことがわかります。

 

また一方でいかにコロナが経済にネガティブな影響を与えたかについても計り知れないものがあります。

 

山手線は日本の中心地を回るため、経済の大動脈とも言えます。

 

この大動脈の路線の利用者数の減少には下記の要因が考えられます。

 

・段階の世代の高齢化に伴い、高齢者の外出が減った。

・コロナ禍で外出の機会が減り、その結果電車の利用が減った。

・出勤を前提とする企業が増えた一方でテレワークと通勤のハイブリット型や完全テレワークを続ける企業などもあり、働 

 き方方改革が浸透してきた。

・シェアサイクルや電動キックボードが普及し、若者を中心に電車の利用が減った。

・私鉄路線の延伸により山手線を利用しなくても良い人が増えた。例をあげると副都心線と東横線の相互運転によりJR渋谷 

 駅の利用者数が減少した。

 

朝夕の通勤電車は混んでいると感じる方も多いと思いますが、時差通勤なども増えており、朝夕の通勤電車の混雑も5年前と比較すれば確実に減っています。

 

どうしてもコロナ禍と比較してしまうのですが、コロナ禍は異常事態であり、ガラガラの通勤電車の様子があまりに衝撃的で脳裏に焼き付いてしまっているだけで、実際にはそれ程混雑していなくても、混雑していると感じてしまうだけです。

 

また、早朝や終電電車、土日祝日の電車の本数が減っており、特に平日早朝の電車は比較的混雑してはいるものの、郊外の私鉄の利用者数はコロナ禍前と比較して確実に減っています。

訪日外国人の数により鉄道利用者数が増加する 

都心部への人口流入は増えてはいますが、急速に日本人は高齢化により減少しています。

 

この現象は人口が多い都心部も当然当てはまります。

 

昨今では訪日外国人によるオーバーツーリズムが問題視されていますが、フランスなどの観光客数を考えると日本は後1.5倍から2倍程度まで外国人観光客が増加する可能性があり、これらの人々が、団体旅行ではなく、個人旅行にシフトして鉄道を利用すれば、更に乗降者数は増加するものと思われます。

 

通勤で鉄道を利用する人は、今後もますます出勤を推奨する企業が増え、増加するものと思いますが、通学は少子化が続いているため厳しいと思います。

 

外国人旅行客も含めて、1日の山手線の乗降者数は900万人は超えてくると思いますが、2019年度の1,000万人を超えるのはかなり厳しいのではないか?と感じています。

 

JR東日本をはじめ、私鉄各社は新規のスイカやパスモは半導体不足を理由に販売を中止していますが、定期の購入とセットであれば交付するという状況や回数券の廃止など、利用者への負担を多くして、利用者数の減少に対応しています。

 

稼ぎ頭の山手線の利用者数が減れば、赤字のローカル路線の存続がより厳しくなっていくものと思われます。

 

現在JR東日本や私鉄大手は不動産の賃料収入をあげるために、建て替えや改修工事に力を入れており、ますますこの傾向は強くなっていくものと思われます。