渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
2024年10月18日の日経新聞朝刊の「大機小機」のコラムで、「東京一極集中と少子化」というタイトルの中で、東京一極集中是正論の根拠のひとつになっている「日本で最も出生率が低い東京都に人が集まれば、日本全体の出生率も低くなり、これが東京一極集中が少子化を招いている」という議論は完全に的外れだと断じているのですが、まさにその通りだと私も感じています。
多くの方と仕事上関わり合いがある中で、政治の話は本来ご法度なのですが、石破首相は「地方創生」を前面に押し出していますが、ばらまき的な政治判断だけはしてほしくないなあ~と個人的に思っています。
2024年4月1日現在の確定値で日本人の人口は前年同月と比較して約85万5千人減少しています。
人口が80万人弱の山梨県、佐賀県、福井県約75万人弱、高知県、島根県は65万人前後、鳥取県は54万人弱の人口なので、毎年これらのひとつづの県が消滅していくくらい日本人の人口は急速に減少しています。
以前にもお話ししたことがあるかと思いますが、ここ数年で那須の別荘地の売却を依頼されたことが度々あったのですが、新たに水道を引き込む際には全て自費で行う必要があるなど、生活に必要なインフラまで自分達で設置し、その維持費用まで用立てしなければならず、多くの土地が誰も買い手がつかない状況となっています。
生活するために必要不可欠は水道の引込は、本来公共機関が提供するのが基本ですが、新たに設置するお金もインフラを維持していくお金も那須町には無いというのが現状で、日本各地の市区町村でも同様の事があちらこちらで起きています。
家もそうですが道路も維持しなければ野ざらしになり、やがて荒れていきます。
それでも現在の日本では、ほとんど利用されていない町道、市道や県道を維持するために莫大な予算編成や費用をかけています。
人間は集団生活をすることにより、進化し、地球上最強の生物になり、また今後も集団の中で生きていかなければなりません。
故郷が無くなることは寂しい限りですが、本気でそろそろ公共のインフラの維持及び整備について、選択と集中を行うべきであり、これを先延ばしすると、結果、国力が衰えていくことになります。
人はある程度集団を形成しないと、ガソリンスタンドもスーパーもお医者さんも、床屋さんも何もかもが、商売として成り立ちません。
今の時代は多くの分野で一極集中しないと生き残れなくなってきています。
半導体大手で世界に君臨していた半導体大手のインテルは設計から製造まで一貫して自社で行い、長い間市場を独占していましたが、いまやその勢いはなく、半導体の製造だけに特化する台湾のTSMCが1強となり、立場が全く逆転しています。
医療の世界でも、内科、外科といった診療項目をもっと掘り下げた首専門や背中専門などをうたう先生は大忙しになっています。
不動産業界でも土地から戸建、マンション、借地権なんでもできますとアピ-ルしてもお客様はついてきてくれません。
今の時代は、例え実際になんでもできる不動産のスペシャリストだとしても、マンション売買仲介のスペシャリストですとアピ-ルする方がお客様の反応が良いという現実があります。
東京一極集中がもたらす恩恵
東京一極集中により、若者が東京に出て行ってしまうので、地方では結婚相手がいないというような議論がありますが、地方ではそもそも働く場所が限られており、必然的に東京に人が集まってきます。
これにより東京が多くの若者の出会いの場所となり、それが結婚へとつながっていきます。
しかしながら、東京の都心部の不動産は購入でも賃貸でも価格が高いため、結婚後しばらくすると神奈川県や埼玉県などに引っ越す方が多くなっています。
日経新聞のコラムでは「東京都は男女のマッチングの場を提供して、少子化を防いでいる」としています。
このように東京都の出生率が低いという点についても極めて明快に論じています。
合計特殊出生率は年齢別の女性の出生率を合成して計算されますが、先述したように、東京には相対的に多くの未婚女性がが流入してくるので、出生率は低くなる傾向にあり、日本の出生率が下がったのは、日本全体で出生率が低下したのが原因で東京だけに責任がある訳ではないとしています。
更に2023年の東京都の人口流入超過数は6万8千人で日本の人口の0.1%にも満たないので、仮に人口流入がストップしたとしても、それが日本全体の出生率に及ぼす影響はほとんどゼロとしています。
この最後の部分は東京を出て行った人と入ってきた人の差が人口流入超過数なので、その東京から出ていく人と入ってくる人の年齢構成を考えると、もう少し深堀しても良いとは思いますが、大枠としてはかなり正論を述べていると思います。
都内でも勝ち負けが鮮明化しています!
何でも一括りに東京の独り勝ち的な話になりますが、実は23区内でもエリアによっては少子高齢化がものすごいスピードで始まっています。
特に、葛飾区や足立区でバス便のエリアなどは、バス自体の運行本数も減っており、急激な人口減少が進んでいます。
また東京の郊外に位置する八王子市や千葉市なども、利便性の高いエリアは人口が増加していますが、不便なエリアでは人口減少が既に始まっています。
今の日本の構図は過疎化が進む地方の町や村の人が地方都市の中心部である県庁所在地や政令指定都市に流れていきます。
また地方からは東京都及び神奈川県、埼玉県、千葉県の利便性のエリアに流入し、さらに、その場所に住んでいた人が利便性のより高い都心の限られたエリアに移り住む流れとなっています。
利便性に優れるエリアほど人が集まり、その他広大なその他のエリアの人口は減少するという逆三角形の構図と言えます。
江戸時代中期以降の日本の人口は2,500万人2,700万人程度で推移しており、ここまで落ち込むことは無いかと思いますが、今後は、大都市や特徴のある地方の街だけが生き残っていく世界になっていくかもしれません。
江戸の街が100万人程度の人口がいたと推計されてますが、今は外国人を含めた東京都の推計人口は2024年1月現在で約1,400万人、東京23区内では約979万人ですが、江戸と言われた場所は、千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、渋谷区、豊島区、荒川区、及び、品川区、目黒区、北区、板橋区、練馬区の各一部なので、中央区は明治以降の埋立地が多いので0.7、品川区、目黒区、北区、板橋区、練馬区は江戸と言われたエリアは一部の地域なので0.3をそれぞれ乗じると、かなり大雑把な数字になってはしまいますが、江戸の街といわれたエリアの現在の人口は約357万人程度と推定されます。
江戸時代の江戸に暮らす人が日本人の人口の3.7%から4%に対し、現在、江戸と言われたエリアで暮らす人の割合は日本の推計人口が2024年1月現在で約1億2,409万人なので、人口割合的には約2.87%にしかなりません。
このことから、江戸時代の江戸の街に暮らす人の人口と、現代の江戸の街と言われたエリアに暮らす人の人口を比較すると、はるかに、江戸時代の方が日本の全人口と比較して、より密集して住んでいたことになり、東京一極集中が今に始まった訳では無いことがわかります。
現代はタワーマンションが相当な数にのぼり、今後もさらにタワーマンションの建設が計画されています。
これらの事実から考察すると東京の一極集中は、必然的な結果であり、今後とも、この流れは継続していくものと思われます。
江戸と言われたエリアで駅近の利便性の高いエリアのマンションは今後も高い人気を誇り、値崩れしずらい資産性の高いマンションとなり存在価値を高めていくものと思われます。
また例え、東京23区内のエリアであっても交通利便性が悪く、浸水ハザードエリアに該当するようなエリアでは、人口が減少し、不動産の価値がどんどん下がり、最終的には処分さえ出来ない不(負)動産になってしまう可能性があります。
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