渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
りそな銀行と埼玉りそな銀行が2024年11月の住宅ローンの変動金利の最優遇金利を現行の0.49%から0.39%に引き下げると公表しました。
2024年10月よりメガバンクを含めた大手5銀行(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託、りそな銀行)が、変動型の住宅ローンの基準金利を2.475%から0.15%引き上げ、2.625%にしたことは、2024年10月3日に発信させて頂いた「着々と進行する住宅ローン金利上昇の流れ」でお話しさせて頂きました。
その中で、唯一、三菱UFJ銀行だけが、最優遇金利を据え置く、すなわち、基準金利から差し引く金利をさらに0.15%積み増しして、実質、最優遇金利を変えないという戦略をとったとのお話もさせて頂きましたが、2024年11月に同様の動きをりそな銀行と埼玉りそな銀行が行うことが公表されました。
基準金利が2.625%なので現状は、りそな銀行と埼玉りそな銀行の最優遇金利は0.49%なので、優遇金利にするための金利引き下げ幅は2.135%となっていますが、最優遇金利が11月からは0.39%となるため、優遇金利にするための金利引き下げ幅は2.235%とそれぞれ0.1%下がることになります。
わずかひと月の間での方針変更の裏には何があったのでしょうか?
金融機関は手数料商売に走っている??
これは、あくまでも私の推測の域を出ないのですが、昨今の物価高により家計負担がじわじわと、そして、確実に増えていく中で、わずかな金利上昇でもマイホームを購入する方にとっては、かなりの心理的な負担となり、わずか一か月の間ですが、住宅ローンの申し込みが減少したのではないでしょうか?
都心部のマンションは中古物件でも70㎡程度のファミリー向けマンションは1億円を超えて、なお、価格は上昇し続けていますが、これらの物件を購入できる方は、海外の投資家を除いた、実需で言えば、一握りの超大手の上場企業で働く社員、中小企業で利益を上げている経営者、ベンチャー企業で成功して一代で財を成したなど、ごく一部の富裕層だけであり、このような富裕層の方々はそもそも現金で購入、あるいは、住宅ローンの支払いにそれ程負担を感じない方々であり、それ以外の多くの方にとっては、金利上昇はかなりの心理的な負担となります。
平均売出価格の参考例(70㎡換算、2024年8月現在値)
・都心五区※ 1憶2,756万円
・東京23区 7,750万円
・神奈川県 3,646万円
・埼玉県 2,916万円
・千葉県 2,679万円
※都心五区とは千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区です。
※上記は不動産調査会社の東京カンテイが公表した数値です。
以前のお客様であれば、大手金融機関や働いている会社の系列(例えば芙蓉グループ(旧:富士銀行、現:みずほ銀行)や住友系列であれば(旧:住友銀行、現:三井住友銀行など)の金融機関で住宅ローンを組むのが当たり前でしたが、今は弊社のお客様も金利が安く、振込手数料も安い、ネット銀行で住宅ローンの借入を躊躇なく申し込む方が圧倒的に多くなっています。
更に、ネット銀行だけでなく、差別化を図った三菱UFJ銀行の動向も見て、今回、優遇金利の見直しを図ったのではないでしょうか?
永く続いた低金利時代に、金融機関は住宅ローンの契約の際に、火災保険を勧めたり、また生命保険の見直しや金融資産の運用を提案して、投資信託の販売なども行い、低金利により本業で稼げなくなった分の補填として、どんどん手数料ビジネスに手を広げていきました。
ここにきて金利のある世界が現実化してきたとは言え、まだまだ金利は低く、住宅ローンだけでなく他の分野でも手数料が見込める住宅ローン顧客の獲得を強化するために、今回、最優遇金利の値下げに踏み切ったのではないかと感じています。
最優遇金利の貸出条件
最優遇金利はオンラインで申し込みから契約まで完結させた住宅購入者に適用するとのことですが、それ以外にも下記の条件が加えられています。
① 給与振込、団信革命付保、ペア団信付保、りそなクレジットカード<ポイントプラス>のご利用(1回1,000円以上)
のいずれか1つの利用
② NISAでの積立投資信託、積立投資信託、積立式定期預金のいすれか1つの利用
上記①と②のすべてを満たすことが最優遇金利の適用を受ける条件となっています。
また条件を満たせない場合は金利が0.03%上乗せされるとしています。
いすれにしろ、手数料ビジネスに目覚めた金融機関は住宅ローンを顧客の囲い込みの重要なツールとして利用しています。
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