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住宅ローンの差別化が加速(その3)

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

これまで、最優遇金利の差別化やペアローン連生団信など、主にネット銀行が仕掛けてきた、住宅ローンの差別化戦略をお話してきましたが、最後に、自己資金(頭金)の積み増しによる金利の優遇(自己資金優遇)についてお話しします。

 

不動産の購入には物件価格と購入に伴う、ローン諸経費、不動産仲介手数料、登記費用などの諸経費が必要になります。

 

物件価格が例えば5,000万円で、諸経費が350万円だとした場合、物件価格5,000万円をまるまる借りた場合をフルローンと言い、諸経費も含めた5,350万円すべてを借りた場合はオーバーローンといいます。

 

自己資金優遇という自己資金を多く出せば出すほど、金利が優遇される制度では基本、諸経費は自己資金で賄うことを前提としています。

 

そのうえでさらに「物件価格の10%以上、又は20%以上の自己資金を出して頂いた方には金利を優遇しますよ。」という制度です。

 

諸経費を現金で用紙して、更にプラスで頭金(物件を購入するための自己資金)がだせる人の優遇制度のお話しとなります。

 

この自己資金(頭金)を一定額以上用意すると貸出金利を引き下げる住宅ローンが増えてきています。

私が信託銀行に出向していた際に、よく銀行マンから教えられたことは、「預金をコツコツと貯めることができる人は、住宅ローンを貸し出すときに支払いが滞る確率が非常に低い。何より、一定額を毎月確実に貯蓄するという実績は毎月のローンの返済にも同じように当てはまるから」という内容でした。

 

ネット系の各金融機関は、大手メガバンクと比較して、歴史的にまだ日が浅いこともあり、まだまだ富裕層の顧客は少ないため、今後住宅ローンを組む予定の未来の富裕層の獲得、信用力の高い優良顧客の囲い込み戦略を進めているのです。

 

自己資金(頭金)の有無、当然、事前審査の際の重要な信用力のプラス要因とはなりますが、メガバンクなどでは自己資金(頭金)の有無によって、住宅ローンの金利を変動させる仕組みは、フラット35の利用を除いては導入していないので、ネット系金融機関による新たな差別化戦力と言えます。

各金融機関の自己資金優遇とその条件 

 

以下に各金融機関の2024年11月現在の新規の借入で自己資金優遇の条件と最優遇金利を記載します。

 

いずれも変動金利です。

 

SBI新生銀行    自己資金10%以上 0.410% 基準金利1.700%

PayPay銀行     自己資金10%以上 0.465% 基準金利2.430%

住信SBIネット銀行 自己資金20%以上  0.448% 基準金利3.025%

イオン銀行              自己資金20%以上  0.530% 基準金利2.620%

 

逆にオーバーローンの場合は、ソニー銀行は0.05%の金利上乗せ(基準金利2.057%)、PayPay銀行は0.024%の金利上乗せとなります。

 

住宅ローンの貸出実行額がメガバンクを超える住信SBIネットの基準金利は唯一3%を超えていますが、最優遇金利はSBI新生銀行に次ぐ2番目の低さとなっています。

 

ちなみに軽く先述させて頂いていますが、フラット35の11月適用金利は下記のとおりとなります。

 

フラット35は固定金利です。
自己資金1割未満・・1.95%
自己資金1割超 ・・1.84%
自己資金2割超 ・・1.74%

 

 

また、ここにきて一律だった基準金利にはかなりのばらつきが出ており、各金融機関の線戦略によりかなりの違いが出ています。

 

大手金融機関の変動金利に対する基準金利は三菱UFJ吟行、三井住友銀行、りそな銀行が2.625% みずほ銀行で新規の借入の場合の基準金利2.475%で既存客の基準金利は2.625%となっています。