2024年10月の都心5区のオフィスビルの市況

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

2024年11月7日に三鬼商事が公表した最新オフィスビル市況によると千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区の都心5区の2024年10月時点での平均空室率は4.48％になり、3か月連続で好不況の節目となる空室率5％を切りました。

2020年2月に空室率がわずか1.49%という非常に高い稼働率を誇っていた都心5区のオフィスビルは2020年4月7日に1回目のコロナによる緊急事態宣言が発令された後、急速に市場が冷え込み、わずか1年半後には6％を超える空室率となり、2023年12月まで間、空室率が6％超えが続いていました。

2023年5月に新型コロナウィルス感染症が5類に移行されてから約1年半が経過し本格的にオフィス市況が改善してきた感があります。

また、直ぐ新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックがおこることはないと思われるので、あまり気にすることはないと思うのですが、マイコプラズマ肺炎とインフレエンザの同時流行が懸念されており、先週の時点では1医療機関当たりの患者人数が1を超え、マスクをしている人が急激に増えてきている気がします。

2024年11月5日時点ではマイコプラズマ肺炎は1医療機関あたりの患者数は全国平均で2.49人、東京都は4.84人、インフルエンザは全国平均で0.87人、東京都で0.73人と減少していますが、マイコプラズマ肺炎は確実に流行している状態となっています。

ちなみに新型コロナウイルスは1医療機関あたり全国平均で1.69人、東京都で1.17人となっています。

この状態が長く続き、次々に新たな病原菌が発生した場合には、少なからず市況に影響が出る可能性はあるかもしれません。

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下記のグラフを見れば、コロナ禍前と比較するとまだまだ活況とは言えない状況ですが、2023年問題と言われた虎ノ門・麻布台エリアや渋谷駅周辺エリアでの相次ぐ最新の大型オフィスビルの開業により新築オフィスビルが大量供給されている状況ですが、市況はかなり改善してきています。

米国では、テック企業を中心に出勤要請が出ているとはいえ、いまだにニューヨークのマンハッタンのオフィスビルの平均空室率は約20％と高い水準が続き、コロナ禍以前の10％内に収まる兆しはなく、深刻な住宅不足もあり、オフィスビルを住宅にコンバージョンする例が増えているようです。

一方で日本の場合は、米国と同様に通勤とテレワークのハイブリット型が定着した感がありましたが、まだまだ全体的には少数派で出勤回数が大幅に増加したり、出勤が基本になった企業も多くなっています。

更に、人手不足が顕在化した今、魅力のあるオフィスビルに移転し、少しでも優秀な人材を集めようとする企業が、急激に増加しており、好立地のハイスペックなオフィスビルの需要は高く、これに引きずられるように、都心5区のオフィスビル全体の空室率の低下だけでなく、賃料の上昇現象も起きています。

オフィスビルの平均賃料は9か月連続で上昇！

大型再開発が進むと老朽化したオフィスビルは解体されるので、競争力が無い物件は淘汰されていきます。

大型再開発が進めば進むほど、賃料が安く、競争力の無いビルは減っていき、競争力があり、賃料がとれるハイスペックなビルに入れ替わり相場賃料が上昇していきます。

大手デベロッパーと以前話した際に、バブル期までは狭い土地でもその所有者が自社ビルを建てて、余剰分は賃貸オフィスとして貸し出すというケースが多く、また用地買収も容易には進まなかったケースが多かったが、ここ10数年のトレンドは、再開発の話が出ると、その区画の多くの地権者が換金するか、床としてその持ち分を取得するという、いずれかのケースが多くなっているとの事です。

「昨今のオフィスビルは超大型化し、魅力ある商業テナントや飲食店を誘致するだけだなく、シェアオフィススペースなども設けるなどして、少スペース需要にも対応したオフィスビル仕様としているのでとても太刀打ちできない」という理由だそうです。

2024年10月現在で都心5区で平均賃料が高い順では

1位　渋谷区　　坪単価23,861円　空室率　3.94％

2位　千代田区　坪単価21,716円　　　　　2.48％

3位　港区　　　坪単価19,780円　　　　　5.71％

4位　中央区　　坪単価18,294円　　　　　5.80%

5位　新宿区　　坪単価18,531円　　　　　4.44％

となっており都心5区の平均は坪単価20,178円となっています。

千代田区はその立地の希少性と優位性から空室率が2％～3％台と非常に低い空室率を誇っています。

2024年に竣工した、又は、竣工する港区の新築オフィスビルは、赤坂トラストタワー、世界貿易センター跡地のWTC annex、サークルプラス新橋、新虎安田ビル、POLA青山ビルディング、赤坂グリーンクロスなどがあり、次々とオフィスビルが竣工しているので、市況が改善しているとは言え、今しばらくは、空室率が5%を超える状況が続くかもしれません。