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都心3区の中古マンションの販売動向

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

2024年11月22日の日経新聞の商品面で千代田区の中古マンションの10月の平均売り出し価格が70㎡換算で1憶9,799万円となり2億円に迫ってきているとの記事が掲載されていました。

 

次に高かったのは港区で1憶8,390万円となっています。

 

千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区のいわゆる都心6区の平均価格は前月比2.9%高の1憶3,800万円となっています。

 

反対に、神奈川県、千葉県、埼玉県はわずかに下落したようです。

 

これについては11月15日の「東京以外の3県の中古マンション相場に異変有」でも記載しているのでその記事をご覧ください。

 

調査対象は店舗や事務所を除いた30㎡以上のファミリータイプとなっています。

 

データ元は言わずと知れた不動産調査会社の東京カンテイです。

 

この調査結果を裏付けるために、不動産流通機構がREINSTOWERの中で公表している2024年10月のデータから都心3区(千代田区、中央区、港区)の状況を見てみたいと思います。

 

ちなみに、東京都の在庫は2023年5月に27,041戸、都心3区の在庫は2023年2月の3,318戸がピークで、それ以降は徐々に在庫数が減少しています。

 

但し、現在は2024年7月を底に、在庫数は一転して増加に転じています。

千代田区・中央区・港区は独歩高 

上記のグラフは上が都心3区(千代田区・中央区・港区)の成約価格と新規登録(新規売り出し物件)価格と在庫(販売中)価格を2022年から年月毎に比較したもので、下は東京都全体になります。

 

2024年7月を境にいずれも価格が急上昇していますが、都心3区は東京都全体と比較して、成約価格で約1.88倍、新規登録価格で2.47倍、在庫価格で約2.5倍もの価格差が生じており、都心3区が独歩高となっています。

 

2024年10月の都心3区の成約価格は1憶1,455万円、新規登録価格は1憶5,286万円、在庫価格は1憶4,536万円となって、特に新規登録、すなわち希望売り出し価格が、かなり強気の価格となっており、それと比較すれば成約価格は上昇しているとはいえ、売主が希望する価格に買主が追いついていない状態となっています。

 

反面東京都全体で見ると、成約価格と新規登録価格の価格差は100万円程度となっており、売り主と買主の価格希望が相場観にあっていると言えるのかもしれません。

 

面積は毎月異なりますが、東京都の場合は58㎡~61㎡の間、都心3区の場合は、それより少し狭い55㎡~59㎡の間でおおよそ推移しています。

 

価格が上昇している分、㎡単価も上昇しています。

 

また、下記は東京都と都心3区の在庫数の推移ですが、価格が急上昇を始めた2024年7月を底に、新規登録物件が増え、一気に在庫数が上昇に転じています。

最後に成約件数を2022年から月ごとに比較してみると、都心3区は2024年1月~7月までが前期を上回るペースで成約していましたが、8月以降は2022年と2023年を下回る実績となっています。

 

これは東京都全体でも同じことが言えますが、一点だけ違うのが、ピークのずれです。

 

東京都全体では2024年3月がピークでしたが、都心3区は2024年7月がピークなっており、東京都全体の方が4か月ほど早くピークアウトしています。

 

東京都全体では実需にあった動きで3月がピークですが、投資的な買いが入る都心3区の場合はあまり月にこだわりなく、成約していることがわかります。

 

例年8月は夏季休暇・お盆休みと長期休暇が入り、不動産会社も休みになるため、成約件数は季節要因で大幅に減少します。

 

都心3区は世界の主要都市であるニューヨークやロンドン、上海、シンガポールなどと何らひけをとらない程ブランド化しているため、グローバルな点で言えば、まだまだ上昇の余地は残されており、不景気による下落局面があったとしても、それほど心配する必要はないエリアと言えます。

 

但し、都心以外は既に軟調な相場感が出始めているエリアもあるので、その点は今後注視していく必要があると思います。