渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
マンションをご購入される方は実際に何を重要視して、購入するのでしょうか?
国土交通省が5年に1度実施しているマンション総合調査の最新版である令和5年度マンション総合調査を見て、実際にマンションを購入する際の重点項目が何であるかを見ていきたいと思います。
調査の期間は令和5年10月末から令和6年1月末に行われたもので全国の4,270の管理組合と全国の区分所有者8,540人を対象に行われ、そのうち1589の管理組合(37.2%)と区分所有者3,102人、36.3%から回答がありました。
それでは実際に結果を見ていきましょう。
下記のグラフはマンションの取得方法に関する事項です。
新築マンションの供給数が減っているとはいえ、約6割の方が新築マンションを購入していることになります。
中古マンションは4割弱となっています。
更に今回のデータでは、リフォームを実施した中古マンションは約半数の49.8%にものぼります。
但しこれが、新規リノベ済の物件を購入したのか、ご自身でリフォームされたのかわかりませんが、私の肌感覚ではリフォームしたとされる住戸の3割程度が、再販買取業者が手掛けた新規リノベ物件ではないかと感じています。
マンションにおける世帯主の構成ですが、60歳代が一番多く、次いで50歳代、70歳代と続きます。
一番年齢構成が厚い世帯層は恐らく、物件を購入したのは30歳代ではないでしょうか?
また、20歳代でマンションを購入する人はほとんどいないという結果となっています。
では、ご購入したマンションに一生お住みになるつもりで、ご購入したのでしょうか?
下記の表はご購入した年代別に永住意識の調査をした表で、年齢が上がる程、永住意識が高くなっていることがわかります。
全体ではみると60.4%の人が永住するつもりで購入しており、17.7%の人がいずれは住み替えを考えています。
私の感覚ですと、法人ではなく、個人の場合であれば、今購入した物件が値上がりしていたとしても、物件購入のための諸経費や売却費用、譲渡所得などを考えると、最低でも10年以上は住み続けないと、住み替えはもったいないと思います。
マンションを購入する際に重要視する項目
では、具体的に、マンションをご購入された人が重要視する項目は何でしょうか?
上位10位までを順位別にご紹介いたします。
1位 駅距離
2位 間取り
3位 日常の買い物環境
4位 周辺の公共施設の立地状況
5位 周辺の自然環境
6位 眺望
7位 築年数、耐震性
9位 専有部分の設備
10位 建物の防犯性能
という結果になっています。
下記の表は東京圏と全国でマンション選びで違いがあるのかを比較してみたのですが、東京圏も全国もマンションを購入する際の重点項目に大きな違いはありませんでした。
新築マンションを購入する際には、「交通利便性に加え、豊かな緑に囲まれた住環境と暮らしやすさを兼ね備えた邸宅!」などのキャッチコピーと豪華なモデルルームとクールな動画によって意識が知らず知らずの内に洗脳され、売り主側の戦略にどっぷりとはまってしまう場合が多い一方で、中古マンションの場合は、そのような宣伝ツールは無いので、本当に自分が欲しいエリアの物件を選ぶ傾向が強いと言えます。
一方弊社がお薦めする重要な項目は
1位 駅距離(出来れば9分以内)
2位 部屋の階数(出来れば3階以上)
3位 眺望
4位 エンランス周りと外観
5位 築年数
6位 メインバルコニーの方角(東南、南、南西、又は角部屋)
7位 マンションの総戸数(総戸数20戸以上)
8位 共用部分(独立したごみ置き場、EVの数、有人管理、宅はボックス等)
9位 長期修繕計画の有無と修繕履歴
10位 ペット可物件
です。
もちろん、お客様にとっては間取りはかなり重要ですが、これは個々の方によって違うので重点項目には入れていません。
また、大規模新築マンションは例外ですが、中古物件をご購入する方は周辺環境が全くわからいエリアはそもそも購入対象にならないのでそのような項目もいれません。
弊社でお薦めするのは、ご自身が住みたいエリアからマンションを選び、その際に、万一の際に売却しなければならないなどの際に、速やかに、そのエリアの相場若しくはそれ以上で売却できる可能性が高い物件をできるだけご購入するようにお薦めしています。
中古マンションの内覧を経験されたことがある方であれば、おわかりになるとおもいますが、内覧する時間は短い人で15分程度、通常は30分以内、長くても1時間はかかりません。
そのような短い時間で内覧して心に残るものとしては、駅までの距離と街の雰囲気、マンションの顔であるエントランス周り、部屋を入ってリビングダイイングから見た景色、日当たりくらいです。
また、3階以上をお薦めする理由は、1階や2階はお身体が不自由な方、専用庭が欲しい方、自衛隊や警察官の方(緊急時に自力で外に出られる物件を選ばれる方が比較的多い傾向にあります) 以外は、セキュリティの観点からも選ばれないことが多く、購入の対象にならないからです。
またペットを飼われる方が非常に多いのでペット可の物件の方が購入層は広がります。
長期修繕の計画がしっかりしており、修繕履歴がしっかりしていれば、マンションは長期的に良い状態を保つことができます。
ご予算が合うのが前提になってしまいますが、築年は最低でも築40年以内、できれば西暦2000年築以降の物件、タワマンであれば2009年以降の物件を選ばれた方が良いと思います。
築40年以内は確実に新耐震物件であること、西暦2000年は心理的節目(築25年以内)であること、2009年以降で多くの高級物件やタワマンが内廊下に変更となっており、建物の仕様が従来と変わっています。
建物の専有部分は制約はあるもののある程度自由にリフォームが可能ですが、バルコニーの向きや、共用部のごみ置き場の新たな設置などは物理的に不可能なものがあるので、共用部の充実度は重要です。
セキュリティは非常に大切ですが、共用部の防犯カメラは後付けも可能ですし、インターホンも15年くらい経過すると故障するので、新しい機能が付いたモニター付きインターホンも多くの場合設置可能ですので、今ついていなくても後々設置される可能性が高いと言えます。
実際に一般の方がマンションを購入されるときに重要視する事項と、資産価値として評価できるマンションはこのように微妙なズレが生じます。
これからマンションをご購入したいと考えている方は弊社が重要視している項目もぜひ参考にしてみてください。
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