渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
JR東日本が2031年度の開業に向けて動き出している「羽田空港アクセスライン」が開通した場合、羽田空港へアクセスする人の流れが大きく変わるかもしれません。
現在、羽田空港に向かう公共の交通機関としては、品川駅から京急線への乗り換えと浜松町駅から東京モノレールを利用するしかなく、他は主要駅からのリムジンバスを利用するか、自家用車が主流となっています。
羽田空港は新飛行経路の運用が2020年3月に始まったことにより、人手不足等はさておき、運行本数を大幅に増便することが可能となり、運行本数も増えています。
現在羽田空港へのアクセスな鉄道2路線の内、JR品川駅から京急品川駅は直結しており移動距離は短いですが、8段ある階段を上がる必要があり、大きなスーツケースを持った人や車椅子の方にとっては、少々面倒になっています。
JR浜松町駅とモノレールの駅への移動は東京モノレールがJR傘下になったことにより格段に向上していますが、車内は荷物スペースを多く取っている分、一度に乗車できる人数がどうしても限られてしまいます。
リムジンバスは便利ですが、飛行機に乗る場合は、交通事故や交通渋滞を見越して余裕のある移動時間を見ておかないと危険です。
JR東日本は、東山手ルート、臨海部ルート、西山手ルートの3つのルートを開通させることにより、高崎線・宇都宮線、常磐線、京葉線、中央線を利用する乗客をダイレクトに羽田空港へ輸送することが可能となります。
首都圏の通勤圏内でも今後は、少子高齢化と人口減少により運賃収入が伸び悩んでいくことが予想される中で、インバウンドによる外国人旅行客の移動手段として電車を利用してもらうことは鉄道事業者にとっては、とても重要な課題になります。
また空港を利用する東京近郊のベットタウンに住む人にとっても、かさばる荷物を持っての乗り換えが少なくなるので、そのメリットはかなり大きいと思います。
もし、舞浜駅までの直通運転ができるとすれば、国内路線を利用して東京ディズニーリゾートに遊びにくる多くの日本人だけでなく、アジア圏の外国人にとっても移動がスムーズにできると思います。
現在は、宿泊先のホテルまでリムジンバスを利用する方が多くを占めているようですが、直接パークに行きたい人にとっては、京葉線の長いエレベータと長い移動距離が無くなる分だけ非常に心理的負担が減ります。
また、郊外エリアに住む方は荷物が多いため、自家用車を利用する方も多いですが、空港内の駐車場は現在、慢性的に混雑しており、事前予約もすぐに満車になってしまうので、これらの緩和にもつながる可能性があります。
※JR東日本ニュース2023年4月4日 羽田空港アクセス線(仮称)の本っカウ的な工事に着手します より引用
羽田空港アクセス線の概要
羽田空港アクセス線は、国際競争力の強化やインバウンド需要の更なる拡大など、羽田空港の首都空港としての機能強化に大きくかかわる計画としての国策事業とも言えます。
計画の概要としては、羽田空港アクセス線が計画している3路線のうち、2031年度開業を目指す「東山手ルート」と「アクセス新線」は、現在休止している大汐線の橋りょうや高架橋などの既存の資産を有効活用して、東京駅と羽田空港の直結、宇都宮線・高崎線、常磐線方面からの所要時間の短縮や乗換解消・低減などを可能とし、広範なエリアからの空港アクセスを改善する計画となっています。
これにより東京駅から羽田空港へのアクセスは、既存の鉄道を利用した場合30分程度かかるところを乗り換えなく約18分で到着することが可能となる予定としています。
東海道線との接続区間は地下化し、1988年から鉄道事業を休止している大汐線の橋梁や高架橋などを再点検のうえ、うまく活用し、東京貨物ターミナル内のJR東日本が所有している用地を利用して、車両留置線や保守基地線を整備するとしています。
新たに建設する新区間は東京貨物ターミナルから公共施設、道路、運河下を通過するルートとし、最大深度約50m、延長約 4.2㎞の複線シールドトンネルを構築して、JR羽田空港新駅に至る新たな線路を敷設するとしています。
JR羽田空港新駅は第1旅客ターミナルと第2旅客ターミナルの間の空港構内の道路下に、最大幅員約12m、延長約310m
の地下駅を設置します。
ホームは地下1階の高さなので、第2旅客ターミナルとの高低差なく容易に移動することが可能となります。
また空港内のトンネルについては、国土交通省が空港港整備事業の一環として整備する予定になっています。
概算工事費は約2,800億円、工事延長は約12.4kmとなっており、シールドトンネルや開削トンネル、高架橋などからなる路線となります。
※JR東日本ニュース2023年4月4日 羽田空港アクセス線(仮称)の本っカウ的な工事に着手します より引用
羽田空港へのアクセスはJR東日本の独壇場
東山手ルートと臨海部ルートは既に工事に着手しており、あとは2031年度の開通に間に合うかが焦点となります。
西山手ル-トは計画が未定なので、完成はいつになるかわかりませんが、この計画が実現した場合、多くの利用者が羽田空港アクセス線を利用することになると思われます。
横浜川崎方面の方と都営浅草線の利用者は既存の京急線ルート、泉岳寺経由の都営浅草線を利用すると思いますが、中央線、高崎線・宇都宮線、京葉線、常磐線を利用する多くの方がこの羽田空港アクセス線を利用することが想定されます。
既に、今ある東京モノレールはJR東日本傘下のため、羽田空港へのアクセスする路線はほぼJR東日本が独占することになり、今後想定される運賃収入の減少を食い止め、更に乗客数の上乗せも可能になるかもしれません。
但し、蒲蒲線の開通が実現すれば、東急線エリアの住民は京急空港線を利用することになります。
いずれにしろ京浜急行電鉄にとっては、羽田空港アクセス線はかなりの脅威になるはずで、今後何らかの対抗策を講じていくものと思われます。
また、空港を多く利用される方や空港で働く方々にとっては、今後の街選びの範囲が飛躍的に広がるかもしれません。
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