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さいたま市 地下鉄7号線延伸計画

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

地下鉄7号線の延伸計画は埼玉高速鉄道(埼玉スタジアム線)の浦和美園駅から東武鉄道岩槻駅を経由してJR宇都宮線の蓮田駅までの延伸とされています。

 

最終的には宇都宮線の蓮田駅までとなっていますが、現在検討されているのは浦和美園駅~岩槻駅間の延長約7.2kmとなっています。

 

この延伸により、JR京浜東北線、東武スカイツリーライン等の南北軸と東武アーバンパークライン、JR武蔵野線の東西軸の中に、新たに南北軸が生まれることになり、格子状の鉄道ネットワークが形成されることになります。

 

これにより、埼玉県東部地域並びに中央地域と東京都心部へのアクセスが向上し、都心部までの路線が増えることによる利便性の向上や、災害時の代替路線の充実化が図られるとしています。

 

駅は、埼玉スタジアム駅、中間駅、岩槻駅の3駅が新たに計画されており、事業スキームは都市鉄道利便増進法の活用を想定しています。

 

都市鉄道等利便増進法は都市鉄道の利便性をさらに高めるために既存の鉄道施設を有効活用しながら、スピード感と駅の快適性をうながすように促進し、併せて駅施設と駅周辺施設を一体的に整備することで複数の交通手段をつなぐ機能の利便性を高めることを目的として創設された法律で、2005年8月に施行されています。

 

この法律に基づく新たな鉄道整備手法として、施設の「整備主体」と「運営主体」を分離する「上下分離方式」が採用されています。

  

乗り換えの解消やスピードを向上させるための事業に対し、国と地方自治体がそれぞれ総事業費の3分の1を補助し、残りの3分の1を整備主体として、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)や第三セクターが資金調達を行い、鉄道施設の整備を行います。

 

なお、運営主体である鉄道事業者は、利益を受ける分施設使用料として整備主体者側に対価を支払って営業を行い、対して整備主体者は受け取った施設使用料をもとに借入資金を償還する仕組みです。

 

この方式は、鉄道事業者が受ける利益の範囲で施設の使用料を負担することから、特に、「受益活用型上下分離方式」と呼ばれています。

※さいたま市 地下鉄7号線延伸計画より引用

地下鉄7号線延伸による効果 

地下鉄7号線延伸による効果は大きく分けて2つあります。

 

一つ目は、東武アーバンパークラインへ接続することにより、都心部へのアクセスの向上、乗り換え数の減少による利便性の向上、鉄道空白地域の解消、既存鉄道路線の混雑緩和の解消、高齢者の移動手段の確保などが挙げられます。

 

延伸が実現すれば、南北線は既に白金高輪駅と品川駅間の延伸工事に着手しており、リニア中央新幹線の始発駅であり、国際競争力強化の拠点の一つである品川駅と直結することになります。

 

二つ目は、災害などが起きた際の多様な代替ルートによるリスク回避が可能となります。

 

地下鉄7号線の延伸予定のエリアは東北自動車道とそれに並行する国道122号線が交通の要になっていますが、鉄道は走っておらず、移動は車が主体となるエリアで、緑豊かな自然が残るエリアで大半が市街化調整区域に指定されていますが、中間駅ができた際には、市街化区域に変更する予定としています。

 

新たに出来る中間駅のまちづくりの方針は住宅中心の設計になるようです。

 

岩槻駅は江戸時代に始まった岩槻人形が有名な城下町で、浦和美園駅は大型商業施設であるイオンモール浦和美園があり、新駅埼玉スタジアム駅には埼玉スタジアムがあるので、中間駅は差別化戦略として住宅中心の街とする計画を構想しているようです。

 

更に中間駅の近くには保険医療学部と看護学部がある目白大学さいたま岩槻キャンパスがあり、約1,000人の学生が通っており、その特性を生かし、高齢者施設や子供関連の施設なども想定したまちづくりも、構想の一つとして考えたいと大学側は考えているようです。

 

2027年11月には順天堂大学の新病院も建設される予定でしたが、完成が20か月遅れる上に整備費用が当初予定の5倍超えにあたる2,186億円までに膨らみ、計画に黄色信号がともっている点が気がかりです。

 

話は少しそれますが、私の実家は東武アーバンパークライン七里駅が最寄りで、この辺りは良く知っています。

 

見沼自然公園及び隣接するさぎやま公園一帯は水と緑が豊かなエリアで癒されます。

 

見沼代用水や綾瀬川ではよく、びんどうでめだかをとったり、ザリガニ釣りをした経験が今でも鮮明に覚えています。

 

子供の頃に、電車が走るという話は聞いていはいましたが、絶対に田んぼや畑、雑木林ばかりで人が住んでいない場所に鉄道が通るなんて絶対にあり得ないと思っていましたが、50年もすれば時代は変わるとつくづく思います。

 

但し、もし、実際に延伸が実現したとしても蓮田駅又は大宮ルートは果たして私が生きているうちに実現するのか疑問を持たざるを得ません。

 

私個人としては、大宮ルートも日大法学部キャンパスや大宮第二公園、大宮公園、氷川神社近くを抜けるルートもありかと思いますが、大宮駅周辺は高層建物も多いため地下それも大深度の路線にしないと厳しいそうなので、工事費の関係上、実現は厳しいかもしれません。

 

実際に、今年初めには、さいたま市は概算建設費の試算が物価高騰により当初の1.5倍となる1,300億円になるとされ、整備計画に新たな課題が出てきたとして、年度内の事業申請を困難との判断を既に示しており、更に、概算建設工期の試算は当初の7年から18年程度に工期延長されています。

 

そのため仮に今直ぐに着工したとしても私は75歳になってしまうので、この完成を本当に見届けることができるかは、かなり半信半疑な状態です。 

 

一方で、さいたま市は鉄道事業者に技術支援の要請を決め、課題解決と計画内容を精査して、実際にJRTTと埼玉高速鉄道へ技術支援要請を行い、受諾するとの回答を受け取っています。

 

実に、当初の計画から100年かかりそうな壮大な都市計画です。 

※さいたま市 地下鉄7号線延伸計画より引用

地下鉄7号線延伸工事は人口減少にどう対応するのか? 

イトーヨーカード春日部店の閉店の記事を書かせて頂いた内容の通り、現在、東武アーバンパークライン沿線のような、都心に直結しない沿線のベッドタウンは人口の減少と高齢化により街の衰退は確実に進んでいます。

 

建設に莫大な費用をかけて、後30年後に、地下鉄7号線延伸が完成した頃に、どれだけの鉄道利用の需要があるかが非常に気になります。

 

2050年には日本の人口は1憶400万人となり、埼玉県は2020年の人口約734万人が約663万人まで減ると予想されています。

 

30年間で約71万人の減少となり、後期高齢者の割合も増加します。

 

確かに新しい路線ができればそこに人が集まりますが、つくば市や柏市の東京大学柏地区キャンパスのようなかなり大きなインパクトのある施設や団体などを誘致しないと、街の人口増加と発展は一過性で終わっしまう可能性があります。

 

先述した、さいたま市の掲げる延伸によるメリットだけでは、やや説得力に乏しので、更なる起爆剤となる新たな試みも必要ではないでしょうか?