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多摩地区の中古マンションの販売動向

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

都心3区の中古マンションの販売価格が高騰していることは11月28日のブログで既に掲載させて頂いておりますが、一般の方の需要が強い多摩エリアの中古マンションの販売動向はどうなっているのか見ていきたいと思います。

 

下記のグラフは成約価格’(契約が決まった物件の平均価格)と新規登録(新たに売り出された物件の平均価格)、在庫価格(現在販売中の物件)の2022年2023年、2024年10月と年毎に比較したグラフです。

 

成約価格については長期的な流れとしては上下に推移しながらも緩やかに上昇していますが、2024年1月からの短期でみた場合には、下落局面に入った可能性も否定できませんが、変動幅が大きいのでもう少し静観したいと感じています。

 

但し新規登録と在庫価格は2024年1月を境に、緩やかに下落基調となっています。

 

成約価格の方が新規登録や在庫価格よりも高くなっているのは、多摩地区は23区と大島などの島嶼(とうしょ)部分を除いた東京都内全エリアの平均値のため、都心部に近く価格が高いエリアの物件が多く決まっているためです。

 

主要3区の場合は、価格が高い順に新規登録、在庫価格、成約価格となっているのでこの部分が大きく異なる点となっています。

下記のグラフは成約した物件の平均㎡単価と平均専有面積をグラフ化したものです。

 

物件の価格は専有面積の広さによっても大きく変わるものなので、「㎡単価×購入したい物件の専有面積」という計算式を使えば、自分が購入したい物件の価格が平均値と比較して、高いのか安いのかを比較的することが出来ます。

 

また、物件価格が上昇を続けると、自分たちの購入予算額が既に決まっている方は、どちらかと言うと希望の面積よりも狭い物件を買う傾向にあります。

 

下記のグラフを見る限り、㎡単価も専有面積の広さも緩やかに上昇していますが、ここ3カ月は専有面積が狭くなる傾向にあります。

成約件数と物件の在庫数の状況 

コロナ禍でマイホームの価値が再認識され、既に上昇傾向にあった中古マンションの価格は需要の高まりと共に、更に急騰していきましたが、それにもかかわらず、基本成約件数に衰えは見られませんでしたが、2024年7月をピークに多摩地区の中古マンションの成約件数は落ち着くような気配が感じられます。

 

実際には単月の成約件数だけで判断するのは危険で、半年程度の期間を見て判断するべきだと思いますが、多摩地区は一足先にピークアウトするような気がします。

 

購入を見合わせる方の主な理由は、先述した内容も含まれますが、下記の項目の通りです。

・価格が高騰し、物件購入を見合わせる人や戸建てを検討する層が増えた。

・住宅ローン金利の上昇の懸念

・物価高による生活費の圧迫

・価格高騰により安さを売りにする中古マンションと新築マンションの価格差の縮小

などが挙げられます。

 

逆に、物件を購入したいという方の買いたい理由は

・家賃が無駄

・子供の成長(小学生にあがる前)や出産

・結婚・転勤

・資産を持ちたい

・通勤時間の短縮

などが挙げられます。

 

但し、根底に流れる大きな需要の減速の一つに、数十年続く少子化と独身率が高くなったことにより、ファミリー向けの中古マンションを購入する世帯そのものの数が年々、わずかづつですが確実に減少していることです。

 

特に、都心部から離れたエリアは投資などによる資産運用よりも実需に伴う需要が強く、また、コロナ禍による家を欲しいと言う需要が落ち着いてきたことも忘れてはいけません。

一方、物件を売却したい人は、あまり変わらず、一定数いるので、在庫数は緩やかではありますが、増加しています。

 

売却の理由として

・相続

・親の介護

・退職により地元に帰郷

・離婚

・物件高騰により売却して利益を得る

・子育てが終わり、コンパクトで利便性の高い物件への買い換え

 

などがあり、最近は転勤による売却は減少していると感じています。