渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
今朝の日経新聞の「東京・首都圏経済」の欄で、圏央道の全線開通に伴う経済効果の記事が掲載されていました。
2024年12月2日の「さいたま市の中古マンションの販売動向」の記事で記載させて頂きましたが、現在、千葉県内の不動産は一部のエリアを除いて、神奈川県や埼玉県と比較して、あまり勢いがありません。
この勢いの無い理由は千葉県の先は海なので、ドン付きとなっており、流通が行き止まりになってしまっているためです。
水は流れてないと腐るように、道路や鉄道なども循環しない場所では経済は発展しません。
特に南房総エリアは過疎化が進むエリアで、房州びわの産地として、びわの生産量は日本一ですが、漁業と観光に支えられた観光に頼ったエリアとなっており、物流の導線にはなりにくいエリアです。
この地理的に不利な状況下により、都心よりの一部のエリアと木更津市の一部エリアを除いては、勢いに欠けるエリアが大半となっています。
しかしながら、現在工事中の圏央道の大栄JCTと松岡横芝IC間が開通した場合、アクアラインまで高速道路が直結することになり、圏央道が通るエリアに新たな経済圏ができる可能性が高くなります。
経済流通網がドン付きで無くなり循環することにより、経済のが活性化が期待されています。
最近は羽田空港ばかりが注目されていますが、成田国際空港は、総利用者数では羽田空港に水をあけられるものの、国際線のみでは日本一の旅行者数をほこり、航空貨物の取扱量は日本最大の貿易港となっています。
圏央道の全線開通によるメリット
圏央道(首都圏中央連絡自動車道)は、都心から約40~60キロメートルを環状に連絡する全長約300キロメートルの高速道路です。
東名高速、中央道、関越道、東北道、常磐道、東関東道などの放射状に延びる高速道路や都心郊外の主要都市を連絡し、東京湾アクアライン、東京外かく環状道路などと一体となって首都圏の広域的な幹線道路網を形成するための高速道路で、2024年度の全線開通を目指していました。
しかしながら、最大の難関工事であった柴山トンネル工事の遅延により、当初の計画がずれ込んでいました。
現在は、柴山トンネルの工事は目途が立ち、2026年度には全線開通となる予定となっています。
圏央道の全線開通により、下記の4項目が期待されています。
◆その1 物流の多様化
渋滞のメッカとなっている千葉市周辺の湾岸道路の回避による物流のスムーズ化が挙げられます。
千葉県は成田空港周辺の9市町と国土交通省、成田国際空港株式会社(NAA)と連携し、エアポートシティと名付けた職住近接の都市開発を協議するための「推進体制準備会議」を開催し、物流施設の利便性を高めて、企業誘致を加速させるために、空港周辺に新たに3つのインターチェンジの整備を模索するなど、かなり大掛かりなインフラ整備を目指しているようです。
既にNAAは2028年度末の運用に向けて、現在の滑走路2本を3本にする現地調査や準備工事を行っています。
その2 インバウンド効果
アクアラインへ成田空港から直接高速道路でアクセスすることが可能となります。
これにより海に浮かぶ「海ほたるパーキングエリア」は、現在は日本人が中心ですが、観光バスの増加による高いインバウンド効果を目指すことができる唯一無二の場所としてアピールすることにより、観光収入の更なる増加が期待でき、三井アウトレット木更津との相乗効果も期待できます。
その3 各高速道路との連結
現在、成田空港からは東京都心部を通らないと、東名高速道路、新東名高速道路へのアクセスができませんが、圏央道全線が開通することにより、都心を通らない高速道路で、名古屋や大阪方面への新たな物流ルートの確保が可能となります。
また、成田空港からアクセスがしにくい関越自動車道への高速道路による直接アクセスが可能となります。
その4 房総半島南部の活性化
千葉県の房総南部は、かつて海水浴で栄えた御宿や南房総フラワーライン、大山千枚田、鯛の浦、鴨川シ-ワールド、鋸山、漁協直営食堂ばんや、道の駅保田小学校などの観光地が数多くありますが、成田空港からのアクセスが不便なため、インバウンド需要から取り残されている状態となっており、成田空港からのアクセスが容易になることで、地域の活性化が期待されています。
圏央道の全線開通と成田空港の第3滑走路の新設並びに周辺開発による相乗効果はかなり期待値が高いと言えます。
弊社では今年の10月に成田市内で住宅地の売買をさせて頂きましたが、周辺相場を調査して試算した結果、坪3万円前後という価格にある意味衝撃を受けましたが、既に首都圏の郊外立地では地方と変わらないくらいに、地価が下がっていることをあらためて痛感しました。
圏央道の全線開通と成田空港の周辺開発により、物流倉庫建設や新たな産業の創出、観光地の活性化が進めば、千葉県の内陸部の市や町の中には大きく変貌をとげるかもしれません。
実際に、息を吹き返すのはごく限られたエリアだけに留まってしまうかもしれませんが、停滞している千葉県にとって大きなチャンスであることに変わりはありません。
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