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川崎市の中古マンションの販売動向

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

都心3区の中古マンションの販売価格が高騰していることは11月28日のブログで既に掲載させて頂いておりますが、川崎市の中古マンションの販売動向はどうなっているのか見ていきたいと思います。

 

川崎市は川崎駅や武蔵小杉駅周辺、東急田園都市線(溝の口駅~鷺沼駅)、小田急線の新百合ヶ丘駅などの人気が高いエリアがある一方で、京浜急行線沿線は比較的価格が安いエリアとなっています。

 

また近年では南武線沿線の人気が高くなっています。

 

川崎市の2024年10月1日現在の人口は1,551,788人、世帯数は784,086世帯、1世帯当たりの人数は1.979人となっており、人口が増加している一方で、一世帯当たりの人数が二人をきっている状態となっています。

 

個別の区ごとに見てみると、川崎区、幸区、中原区、高津区、多摩区は人口が増えていますが、宮前区は2023年をピークに2024年に減少に転じており、麻生区は2021年をピークに2022年から人口減少が始まっています。

  

下記のグラフは川崎市の人口推移を1995年からグラフ化したものです。

 

武蔵小杉駅や元住吉駅がある中原区、川崎駅北側の幸区、小田急線が通る多摩区は、これから数年はまだ人口増加が期待できるエリアですが、川崎駅南口方面に広がる臨海エリアがある川崎区は人口の増加が鈍化しています。  

下記のグラフは成約価格(契約が決まった物件の平均価格)と新規登録(新たに売り出された物件の平均価格)、在庫価格(現在販売中の物件)の2022年2023年、2024年10月と年毎に比較したグラフです。

 

成約価格については上下に推移しながらも緩やかに上昇しているように見えますが、見方を変えれば2024年4月をピ-クに下落基調に転じているとも捉えることができるため、現時点では、もう少し市場を静観した方が良い感じです。

 

新規登録と在庫価格は2022年10月から2024年1月にかけて動きにあまり変化がありませんでしたが、それ以降は緩やかに価格が上昇傾向となっています。

 

成約価格の方が新規登録や在庫価格よりも高くなっているのは、価格が高く人口が増加しているエリアの売買が中心になっているためです。

 

2024年9月~10月はいずれの価格も上昇していますが、このまま上昇が続くかについては、もう少しの間、見定める必要があるかと思います。

下記のグラフは成約した物件の平均㎡単価と平均専有面積をグラフ化したものです。

 

物件の価格は専有面積の広さによっても大きく変わるものなので、「㎡単価×購入したい物件の専有面積」という計算式を使えば、自分が購入したい物件の価格が平均値と比較して、高いのか安いのかを比較的することが出来ます。

 

また、物件価格が上昇を続けると、自分たちの購入予算額が既に決まっている方は、どちらかと言うと希望の面積よりも狭い物件を買う傾向にあります。

 

下記のグラフを見る限り、㎡単価は2023年10月以降は上下に振れながらも膠着状態となっています。

 

㎡単価は大きく上下動するものの、基本右肩上がりとなっています。

  

専有面積も同様に月単位では大きな変動がある月も見られるものの、2023年9月からは同じくらいの振れ幅の範囲内で推移しています。 

 

川崎市の人気エリアは、横浜市と同様に、専有面積が狭いコンパクトマンションもあるエリアで、2024年10月の成約した中古マンションの平均専有面積は、横浜市の2024年10月と全く同じの65.54㎡ですが、都心に近い分、平均㎡単価は16.24万円高い、57.59万円となっています。

成約件数と物件の在庫数の状況 

川崎市の成約件数は2024年4月と同じく7月~9月までは前年度及び前々年度を超える成約件数となっていますが、通年を通せば2023年のほうが取引件数は多くなるものと思われます。

新規の登録件数に関しては2023年と同じような数値で推移しており、在庫数は緩やかに上昇傾向にあります。

 

今後予想される動きとしては、先述しましたように、長期的に見れば成約価格及び㎡単価がともに上昇基調にありますが、その一方で、2024年1月以降、下落に転じていると見る向きもあります。

 

横浜市と同様に、人気のあるエリアの良好な物件は、今後も需要が強い一方で、交通が不便なエリアや治安や環境に懸念があるエリアの物件は値段が下落基調になり、その他のエリアはわずかながら下落するか、現状維持という二極化ではなく多極化の市場になっているものと思われ、この傾向は今後、益々強くなっていくのではないかと感じます。