渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
2024年11月5日に、積水ハウスの2024年2月~10月の連結決算が1,648億円で2月~10月で過去最高になったという発表がありました。
好調の主な理由は米国で買収した会社の業績を反映したとのことですが、戸建て住宅事業も売上は微増だったものの営業利益は10%伸びたとのことです。
積水ハウスの注文住宅1戸当たりの請負金額が下記のグラフの通りどんどん上昇しており、直近のデータでは5,189万円となっています。
勿論何もせずに請負金額が上昇している訳ではなくZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や長期優良住宅などの高付加価値のある住宅を受注しているからではありますが、大手ハウスメーカの注文住宅で戸建て住宅を取得するのは、最近は給料も上昇傾向にありますが、経済的にかなりゆとりのある人で無いとなかなか厳しい状況になっていると思います。
では、この数字をもとに戸建て住宅地として人気の高い世田谷区で土地を購入して注文住宅を建設した場合のコストはどれくらいになるかを計算してみたいと思います。
土地購入+注文建築の場合の費用
◆ケース1
早速ですが、現在、小田急線梅ヶ丘駅徒歩8分の梅丘二丁目116.21㎡(35.15坪)の更地が8,980万円で売りに出ていますのでこの土地を購入したと想定してシミュレーションをしてみましょう。
土地の購入に8,980万円、建築費を約5,200万円と仮定して場合、土地代と建築費を合計すると1億4,180万円になります。
これに仲介手数料、火災保険料、追加工事費用、つなぎ融資、ローン手数料、登記手数料などを8%程度とすると総額は約1億5,300万円程度となります。
自己資金を2,000万円とした場合、残額は1億3,300万円になりますが、ローン手数料等の諸費用(約2.5%、約332万円)が自己資金として実際には必要になるのでローン額はこの諸費用をプラスした1億3,632万円程度となります。
1億3,632万円の借入を期間30年、変動金利0.8%、元利均等支払でローンを組んだ場合は毎月の支払額は約426千円、年間の支払額は約511万円になります。
変動金利は現在もう少し安い水準ですが、金利ある世界を考慮して0.8%と想定、35歳で購入した場合、定年を65歳と仮定してローン期間を30年で計算しています。
ケ-ス2も同様とします。
◆ケース2
同じく現在販売されている小田急線経堂駅徒歩4分の宮坂三丁目の古屋付の土地146.87㎡(44.42坪)1億5,980万円の場合はどのくらいの費用がかかるか試算してみます。
土地の購入に1億5,980万円と延床面積を容積率限度の約44坪で建築した場合の建築費は@125万円×44坪で5,500万円となります。
更に古屋の解体費を200万円とした場合、合計金額は2億1,680万円となります。
これに仲介手数料、火災保険料、追加工事費用、つなぎ融資、ローン手数料、登記手数料などを8%程度と仮定した場合の総額は2億3,414万円程度となります。
自己資金を同じく2,000万円とした場合、残額は2億1,414万円になりますが、ローン手数料等の諸費用(約2.5%、約535万円)が自己資金として実際には必要になるのでローン額はこの諸費用をプラスした2億1,949万円程度となります。
2億1,949万円の借入を期間30年、変動金利0.8%、元利均等支払でローンを組んだ場合は毎月の支払額約686千円、年間のローン支払額は約823万円にもなります。
土地を既にお持ちの方の場合は、基本建築費と登記費用だけで済みますが、それでも5,600万円を超える費用が必要になります。
また、建築費本体の他に、水道負担金や外構工事が別発注であったり、設備やクロスなどをグレードの高い機種や仕様に変更した場合や、設計変更をした場合は、この平均価格の10%以上は平気で変動する可能性があるので注意が必要です。
いずれにしろ、この価格帯の支払いを問題無く出来る方は、会社経営者や資産家、外資系投資銀行の社員、ご夫婦が大手商社などの総合職で共働きである世帯、親御様からの手厚い支援があるなど、ごく限られた方になってしまうかと思います。
現在の世田谷区の建売住宅市場では、駅距離や物件によって価格は変わりますが、京王線千歳烏山駅、小田急線喜多見駅ですと1億円を切る物件も売りにだされています。
小田急線の千歳船橋駅、豪徳寺駅、田園都市線の三軒茶屋駅エリアでは、1億円前半から1憶5,000万円程度、東急目黒線奥沢駅、田園都市線駒澤大学駅、東急東横線の学芸大学駅エリアですと1億円後半から2億円台の物件もあります。
勿論同じ駅でも、駅徒歩や高級住宅地と言われるアドレス、敷地面積や建物面積により価格はそれぞれ変わってきますが、世田谷区の戸建住宅は9,000万円前後から1憶5,000万円程度の価格帯が主流となっています。
一方、土地プラス注文住宅の建設というパターンでは1憶4,000万円程度からが一つの基準となるイメージなので、やはり、建売市場よりも注文住宅の方がより多くのお金を必要とします。
更に気を付けないといけないのが、建売であればその価格に仲介手数料と登記費用が別途必要になる程度ですが、注文住宅の場合はとにかく、キッチンやユニットバスなどの設備の他にエコカラットなどの高級素材やフローリングなども標準的なものではなく、高価な物をついついせっかくだからと言って選んでしまいがちです。
また、先述していますが、水道負担金を別途に支払う必要があったり、外構工事は別途工事であったりすることが往々にしてあるので、知らず知らずのうちに工事費用が当初想定していた金額よりも高くなっていきます。
そのため、注文住宅の場合は、最終的な費用が当初の予算をかなりオーバーしてしまう傾向があり、また土地の購入から建物の建設までにそれなりの期間を要しますので、予算枠を多少オーバーしても金銭的に問題の無い人や引っ越しまでの期間に余裕を持てる人でないと、注文住宅はお薦めできません。
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