渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
マンションを購入する場合には、修繕積立金が強制的に管理費と一緒に、口座から毎月引き落とされ、修繕が必要な場合は管理会社がサポートしてくれて、長期修繕計画書を作成してくれたり、軽微な工事であれば理事会で承認して工事を行うことができますが、戸建ての場合は、所有者自らが自発的に、修繕に対する備えを行う必要があります。
勿論、注文住宅や新築の建売住宅を購入した場合には、購入後に定期点検を行ってくれたり、時期を見て、修繕工事などを勧めてくれますが、中古住宅を購入した場合は、先ほどをお話ししたように所有者自らが、建物の劣化状況などを把握し、メンテナンスも必要に応じて行っておかないとどんどん建物は劣化してしまいます。
外壁や屋根はもちろんですが、床下などもチェックしておかないとシロアリが発生している場合もあるので、お気を付けください。
今回は、シロアリの発生原因などについてお話したいと思います。
シロアリが発生する主な原因を挙げると、床下の湿気、木材の腐食、日陰の3つになります。
シロアリは柔らかい木材と水分、風通しが悪く日光が当たらない空間を好みます。
シロアリは冬眠することなく年中活動していますが、春から梅雨にかけ気温の上昇とともに、エサである木材と水分を求めて地中から出て活動を開始します。
この活動が雑木林だけでなく、人間の住む住宅の木材の中へと移動してくるのです。
シロアリの特徴
シロアリだけでなく、大概の虫は湿った場所を好む傾向にあり、その中でも特にシロアリは乾燥に弱く湿気を好み、光や風を嫌います。
建物の中でも特に湿気が多いのが床下で、シロアリは地面から床下を通って、建物の中に侵入してきます。
湿気はシックハウスの原因の一つで、湿気が溜まるとカビの発生などで人体にも悪影響を及ぼすように、建物にも悪影響を及ぼします。
基礎工事の高さが低かったり、床下の換気口付近にエアコンの室外機などの障害物があったりすると空気の流れが滞り、床下に湿気が溜まりやすい状況になります。
また、湿気が溜まりやすいお風呂場も注意が必要です。
特にタイル風呂は、床が土間になっているため水分が溜まりやすく、他の箇所より湿度が高くなってしまいます。
かれこれ十数年以上前になりますが、六本木の戸建の改修工事を依頼され、お風呂場の解体工事を行った際に、木材の多くがシロアリ被害にあっており、床下の木材はスカスカの状態になっていました。
この解体時には、既にシロアリの姿は既に無く、シロアリ被害にあってからかなり時間が経過していましたが、建物を支える柱も一部被害にあっており、柱を取り替えたり補強工事を行ったりと、かなり大掛かりな工事になってしまったことを今でも鮮明に覚えています。
このようにならないためにも、お風呂から出たら、必ず換気扇をつけるか窓を開けて換気を心がけることをお勧めいたします。
また 同様の理由で、玄関タイルを水洗いしている場合も要注意です。
なぜなら、水洗いされたタイルの下は、シロアリにとって、とても快適な環境になってしまっているからです。
シロアリは木材が大好きですが、木材は、本来カビなどの菌では分解のできない丈夫な成分でできているのですが、木材腐朽菌という菌が木の成分を分解し、栄養分に変えてしまいます。
この木材腐朽菌が木材を分解し、シロアリをおびき寄せてしまうのです。
シロアリは木材でもとくにやわらかい場所を好むので、木材が腐食しているところに発生しやすくなります。
シロアリはそのような習性をもっているので雨漏りや水漏れで濡れてしまった箇所は、特に注意が必要です。
雨漏りは屋根や天井、外壁などあらゆる箇所で発生する可能性があるので、定期的なメンテナンスを行う必要があります。
室内も勿論ですが、シロアリの被害で外壁や屋根、木材そのものが駄目になってしまった場合、先述させて頂いたように、その後のリフォームにもかなりお金がかかってしまう事になります。
このような理由から戸建住宅をご購入する際には、建物診断をプロに依頼した方が絶対に良いです。
余談になりますが、ハワイは温暖な気候のため、特にシロアリが発生する要因が揃っており、シロアリに対するチェックは中古戸建て住宅のチェック事項の中では必修項目となっています。
もう20年以上も前に、アメリカの不動産管理業協会に加盟していた事があり、その際に、研修でハワイの不動産会社でシロアリに対するチェックの履歴を見させて頂いたことがあるのですが、中古住宅の売買の際はどの木造の戸建住宅も防蟻処理のトラックレコードがしっかりと残されていました。
日本で、修繕履歴の重要性が高まる前に、既にアメリアでは修繕履歴を残すことは当たり前になっていました。
日本でも分譲マンションの修繕履歴を残すことは当たり前になっていますが、戸建ての場合は、修繕履歴の必要性に対する個人個人の意識がそこまで高くないので、多くの中古戸建て住宅は修繕履歴が無いのが実情となっています。
ただ、今後は日本でも戸建住宅の修繕計画並びに修繕履歴の重要性が遅かれ早かれ高まるものと思います。
特に木造の場合には防蟻処理の有無は重要です。
防蟻処理とは、シロアリ被害を予防するために、住宅の土台や柱などに専用薬剤を散布または塗布することです。
薬剤の性能にもよりますが、防蟻処理の効力は5年程度が目安とされています。
中古戸建て住宅を購入する際には、防蟻処理をした記録があるか確認しましょう。
また、戸建てを購入した際には、防蟻処理を行う事をおすすめします。
シロアリの有無を点検する際や万一シロアリの被害が発生している場合に駆除を依頼する際には、公益社団法人日本しろあり対策協会に加入している加盟業者から選ぶことが安全かと思います。
当協会は、シロアリ防除講習会を実施したり、防除施工士の検定・登録を行っており、シロアリ防除および防腐に欠かせない薬剤等の認定登録やシロアリ防除の工法及び材料等の登録もすすめ、関連の仕様書を整備しています。
さらに、建築物の維持管理を確実に行えるようにするため、蟻害・腐朽検査講習会を実施し、検査員の養成と登録を行ったり、消費者対応事業や文化財等蟻害腐朽調査事業など、消費者や国民の財産保全のための事業も展開しています。
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