渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
2024年10月から全期間固定金利のフラット35でペアローンが利用できるようになりました。
ペアローンとは、1つの物件に対し、ご夫婦、親子、パートナーなどがそれぞれ単独で借入の申込みを行い、2つのフラット35を併せて利用できる制度です。
民間の金融機関ではペアローンは以前からありましたが、フラット35では、今までペアローンで住宅を購入することは出来なかったので、フラット35での住宅ローンの借入の選択肢が1つ増えたことになります。
今回、フラット35でペアローンが可能になったことにより、実質的に、購入できる住宅の価格が倍になりました。
フラット35の借入額は100万円以上8,000万円以内の借入なので、例えば、自己資金を「諸経費+物件価格の2割以上」用意することが出来る方の場合であれば1億円の物件でも購入することが出来ましたが、多くの場合は8,000万円以内の物件しか購入することができませんでした。
フラット35でローンを組まれる方の多くは、銀行から融資を受けるのが厳しい、自営業の方や中小企業の役員が多く、このような方は会社の業績が良くても、高騰している都心部の1億円をゆうに超える物件の購入は現金一括払いで無い限り難しい状況でした。
しかし、フラット35のペアローンの解禁によって、二人合わせれば最大で1憶6,000万円までの借入が可能となり、場合によっては2億円を超える物件でも購入が可能になりました。
これは、現在の都心部の不動産相場の実情にあわせた制度改正であり、ある程度の年収があり、都心部の1億円を超えるマンションを購入したかった自営業者やベンチャー企業の役員などにとっては非常にありがたい制度と言えます。

ペアローンのメリット
次にフラット35のペアローンに限らず、ペアローンのメリットについて説明させて頂きます。
メリット1 異なる借入期間が選択可能
例えば6,000万円の借入を行う場合、ご主人は35年で4,000万円を借り入れ、奥様は20年で2,000万円を借り入れるといった選択肢が可能になります。
フラット35の場合は、返済期間が20年以内と返済期間が21年以上では金利に違いがあり、返済期間20年の方が金利が低くなっています。
ちなみに2025年1月の実行金利は団信不加入の場合、借入期間20年以内で1.27%、借入期間21年以上で1.66%となっています。
このように、より柔軟な資金計画が可能になるほか、年齢差のあるご夫婦で借り入れ可能期間を伸ばすと言った借り入れも可能です。
従来の収入合算(連帯債務)での借入の場合は、年齢が高い方の年齢に合わせた返済方法しか選択できませんでした。
例えば、ご主人50歳で奥様45歳であれば、「80歳-1歳-50歳=29年」が最長の借入期間でしたが、ペアローンを利用すると、ご主人は同じ29年ですが、奥様は「80歳-1歳-45歳=34年」となるので、場合によっては奥様は借入期間を34年まで伸ばして、借入可能額を増やすことも可能となります。
メリット2 団体信用生命保険もそれぞれで検討可能
従来の収入合算(連帯債務)の場合は、ご夫婦で同じメニューの団体信用生命保険への加入しか選択肢がありませんでしたが、ペアローンの場合は、それぞれに合ったプランを選択することができます。
メリット3 個別の返済口座
ペアローンの場合、返済口座が分かれるので、どちらか一方の口座に資金を移動する手間を省くことができます。

ペアローンの注意点
ペアローンは、単独では購入できない物件を購入するための選択肢として利用されることが多いですが、通常のローンとはことなる部分もあります。
注意点1 諸費用が増える
ペアローンは1つの物件に対して住宅ローンの契約が2本になるため、抵当権設定の登記費用や事務手数料などがそれぞれ別途必要になります。
注意点2 肩代わりして支払う分は贈与税の対象になる恐れがある
退職などで収入がなくなった場合でもローンの返済は止まらないのは、皆様ご存じの通りですが、この時に収入のある片方がローンの返済を肩代わりした場合、例え夫婦間であっても年間110万円を超えると贈与税が発生する恐れがあります。
万一の病気や倒産などのリスクは考えるとキリがないのですが、発生しやすい状況は出産による休職や退職です。
最近は大手企業では出産の際でも給与が少なからず支給されるようですが、高額物件を購入した場合のローンの支払額は毎月結構な額になりますので、将来のリスクに備えて予めきちんと余剰資金はしっかり準備しておく必要があります。
注意点3 離婚時のリスク
ペアローンでなくても、一般的なローンであっても離婚の際に大きな問題になるのが家の帰属権です。
ただ、ペアローンの場合は、どちらか片方が返済を怠り一括返済が求められた場合、もう一方の方も自身の債務について一括返済が求められます。
そのため、離婚はしたものの、返済はそのまま継続というような可能性もあります。
マイホームのご購入は大きな幸せを築く礎となる一方で、離婚した場合、大きなトラブルの原因になります。
離婚時にはペアローンで組んだ不動産をどのようするのかしっかりと決める必要があります。
ペアローンの落とし穴
ペアローンは単独ローンでは購入が難しかったワンランク上のマイホームを購入するうえで非常に頼りになる借入方法ですが、それ故に、「無理して限界ギリギリの借り入れになってしまう恐れがある」のがペアローンの本当の注意点です。
住宅ローンは無理して組むのは、危険な行為ですが、特に新築物件のモデルルームなどに行ってしまうと夢が膨らみがちですので、一度冷静になり、借りられる金額を借りるのではなく、身の丈にあった資金計画であることを確認することが何より重要です。
特に軽い気持ちで予算より高い物件のモデルルームまで足を運んだ場合など、いつの間にかどんどんその気になってしまい、営業担当者からペアローンの利用を勧められた場合などは、特に要注意ですので、安易に飛びつかないようにしましょう。
フラット35は全期間固定の住宅ローンで、借入時の金利が最後まで継続しますので、経済状況の変化により、月々の返済額が増えるといったことを心配しなくても良くなります。
一方で、日本も金利のある世界になったとは言え、フラット35の金利と銀行の変動金利では、まだ、かなりの格差があります。
最後まで金利の上昇がない安心をとるか、とにかく、現時点で金利が安い金融機関を選ぶか、の選択は最終的には各人の考え方やライフプランによると思います。
ちなみに私の場合は住宅金融公庫(現住宅金融支援機構)で5年据置型の変動金利で元金均等支払、ローン期間30年での借入を20年以上前に組み、一時期金利が0.65%まで下がりましたが21年目(2024年12月)以降は金利が倍の1.3%に跳ね上がりました。
2025年1月のフラット35の実行金利が団信不加入ではありますが1.66%なので、だいぶ差は縮まってきています。
5年程前に変動金利と固定金利のどちらが最終的に有利かを計算した際には圧倒的に変動金利のほうが有利でしたが、フラット35子育てプラスが使える方(子供(同居の孫も対象)の年齢が申込年度の4月1日に18歳未満の世帯か40歳未満である若年夫婦世帯)であれば、フラット35の利用は価値があると思います。
当社では皆様の家庭状況に沿った資金計画をご提案いたします。
転職から間もない、産休を控えているなど難しい状況でも解決策をご提案させて頂きますので、まずはお気軽にご相談ください。

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