渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
大寒波襲来と同時に最近JPCZという言葉が天気予報で聞かれるようになりましたが、ZPCZとは何なのか調べてみました。
JPCZ とはJapan-sea Polar airmass Convergence Zoneの略で日本語だと「日本海寒帯気団収束帯」と呼びます。
冬に日本海で、寒気の吹き出しに伴って形成され、水平スケールが1,000km程度の収束帯で、これに伴う帯状上の雲域を、「帯状雲」と呼びます。
強い冬型の気圧配置や上空の寒気が流れ込む時に、帯状の対流雲が発達して、本州日本海側の地域では局地的に危険な雪の降り方、いわゆる「ドカ雪」になることがあります。
大陸から吹く季節風は朝鮮半島北部にある2,000メートル級の山にぶつかって東西に迂回し、日本海で再び合流する際に衝突し、この時に対流活動が活発になって発達した雪雲の列が、このドカ雪を降らせるJPCZと呼ばれる雪雲です。
このJPCZは、少しずつ位置を変えていきますが、時々停滞する事があり、その場合、日本海側にドカ雪を降らせることになるようです。
2021年(令和3年)1月7日から10日にかけて大雪となった北陸での記録的豪雪の際には、北陸付近の上空約5,000メートルに、氷点下38度以下の強い寒気が流れ込み、冬型の気圧配置が強まり、JPCZが発生し、特に8日から9日にかけて、嶺北を中心に山地だけでなく平地でも短時間に強い降雪となり、北陸自動車道で最大約1,600台の渋滞が発生しました。
この大雪は2018年(平成30年)2月の豪雪に匹敵し、この際にもJPCZが発生したようです。

福井県のドカ雪対策
福井県では、この2021年(令和3年)1月の大雪による混乱を教訓にして、生命維持に不可欠な道路のドカ雪に対し、以下のような対応策を打ち出しています。
◆北陸自動車道、国道8号線、中部縦貫自動車道など国が関与する道路では
①除雪体制と渋滞の早期把握とスタッグ車両の早期排除
・短期間の集中降雪が見込まれる場合は、道路管理者間の相互支援を含めた広域応援により除雪体制の事前強化
・北陸道と国道8号を連絡・接続する道路(ICアクセス道路等)についても、除雪体制の強化
・渋滞を速やかに把握するためのスタッフの増員やWebカメラの増設
・スタック車両を速やかに排除するための特殊車両等の事前配備
② 広域迂回等による流入車両の抑制
短期間の大雪が予測される場合、記者発表やHP、道路情報板等の提供手段に加え、SNS、TVCM、ラジオや休憩施設に設
置したデジタルサイネージの活用、市町と調整した地域一斉メールの発出など多様な手段を活用し、広域的な範囲のドラ
イバー、運送事業者、荷主等を対象として、出控えや広域迂回等を繰り返し呼びかけ、圏域への流入交通を抑制
③ 広範囲での計画的・予防的通行止めの実施
・短期間の大雪が予測され、渋滞発生の恐れがあるときには、広範囲の計画的・予防的な通行止めを躊躇なく行うために、
タイムライン(降雪前、降雪時、滞留発生時等の各段階の行動計画)を策定し、予想降雪量にとどまらず、路面状況、交
通状況、除雪体制など、通行止めの判断や準備開始などの複数の観点から計画的・予防的通行止めを的確に運用
・計画的・予防的通行止めが行われても、社会経済活動への影響を最小化するため、一車線の先行除雪、優先除雪路線の早
期開放等により道路ネットワーク機能の早期回復に取り組む
・緊急車両や燃料等を運搬する車両等は関係機関と事前協議を行い、梯団(ていだん)除雪隊の直後に事前に許可を得た車
両を追尾させ、最低限度必要な物流の途絶を回避
※梯団除雪隊(除雪を行う各部隊)
・広範囲の計画的・予防的通行止めを行う場合は、国土交通省が主体となり社会経済活動への影響の最小化や早期の通行止
め解除に向けた取組を含めて調整
④ 車両滞留の発生への対策
・関係機関の連携により、予め、道路毎に備蓄拠点を分散設置し、資機材や支援物資を配備、その情報を共有
・関係機関の連携により、滞留者支援のための現地対策本部を設置し、道路管理者からの滞留状況等の情報を踏まえ、支援
物資の配給、一時避難場所・宿泊施設・輸送手段の早期確保
・SNS、ラジオ、拡声器等あらゆる手段を活用し、滞留者に対して直接、定期的に今後の情報等を提供
⑤ 関係機関の情報共有の強化
・情報の文字化やWeb会議等の情報共有化の仕組みの構築、冬期道路情報連絡室等と連携し、情報共有の取組を強化
・通行止め見込み等の重要情報は、道路管理者から首長に直接連絡するなど、沿線自治体首長とのホットラインを構築
⑥ 除雪作業を担う地域建設業の確保
・除雪機械の確保・更新に取り組み、国が中心となって、少雪時も含めて適正な利潤が確保できるように、除雪作業の契約
方法の改善、予定価格の適正な設定、保険の活用等の取組を推進
⑦ 雪に強い道路の整備
・国道8号でも大規模渋滞を防ぐため、通行のボトルネック箇所の4車線化やバイパス整備を進めるよう国に要請
・北陸自動車道や国道8号、中部縦貫自動車道等の物流の根幹を担う主要幹線道路において、消融雪設備の更なる増強や待
避所の確保を国やNEXCOに要請
◆県の管理する道路では
① 交通需要の抑制、情報発信の強化
・「みち情報ネットふくい」上で最重点除雪路線や消雪区間を表示し、県民に除雪状況を提供するために除雪の進捗状況
の表示もあ わせて検討
・リアルタイムに道路状況を県民へ提供するため、ICへのアクセス道路などに道路状況確認カメラを増設
②最重点除雪路線の見直し
・最重点除雪路線の指定基準に中部縦貫自動車道を補完する観点を加え、市町の意見を聞きながら、福井県全体の道路ネ
ットワークを考慮した最重点除雪路線の見直しを検討
③事前排雪・集中除雪体制の強化
・短期間の集中的な大雪に備え、広域応援の円滑な受援体制を構築
・除雪オペレータの高齢化や人員不足に対応するため、除雪オペレータの人件費の一部を補填する基本待機補償や、免許取
得および技能講習に係る費用補助を検討
・AIやICTなどの新技術を活用した機械操縦の自動化および吹雪時の車両運転支援技術の実証実験の県内開催を国に要請
④現場体制強化
・集中除雪の際の交通誘導や、県民の要望等に対応するため、県他部局から土木事務所に職員を派遣する応援体制を確立
⑤関係機関との連携強化
・短期間の集中的な大雪時においても公共交通機関の運行や物流・燃料配送等を確保するため、事業者や国、市町と調整
し、重点的に除雪を行う路線や交差点を決定し、事前に関係者間の作業手順や連絡体制を確立
⑥雪に強い道路ネットワークの整備
・バイパス整備など、複数ルートを確保し機能強化を促進
・消融雪施設の整備を進めるとともに、山間地道路においてなだれ防止施設の整備を促進
◆市や町で管理する道路では
①事前排雪・集中除雪体制の強化
・市町の早期除雪を支援するため、県から市町に職員を派遣する応援体制を確立
・短期間の集中的な大雪に備え、広域応援の円滑な受援体制を構築
・除雪オペレータ確保について、先行事例を調査し、市町に活用を働きかける
②関係機関との連携強化
・短期間の集中的な大雪時でも公共交通機関の運行や物流・燃料配送等を確保するため、事業者や国、市町と調整し、重点
的に除雪を行う路線を決定し、事前に関係者間の作業手順や連絡体制を確立
・市町が順次、除雪機械にGPSを搭載し、県と除雪状況を共有することにより、連携強化を図る
これらの対策はドカ大雪が予想される他の県でも有効な対策だと思われますので、参考にして頂ければと思います。
大雪情報の発表基準
大雪が予想されるときは「大雪警報」が発表されます。
警報は、重大な災害が起こる恐れのあるときに警戒を呼びかけて行う予報です。
また、注意報は、災害が起こる恐れのあるときに注意を呼びかけて行う予報です。
警報や注意報は、気象要素(表面雨量指数、流域雨量指数、風速、波の高さなど)が基準に達すると予想した区域に対して発表しますが、地震で地盤がゆるんだり火山の噴火で火山灰が積もったりして災害発生にかかわる条件が変化した場合は通常とは異なる基準(暫定基準)で発表することもあり、災害の発生状況によっては、この基準にとらわれず運用することもあります。
天気予報は、各都道府県をいくつかに分けた一次細分区域単位で発表し、警報や注意報は、二次細分区域単位で発表します。
一次細分区域とは、府県天気予報を定常的に細分して行う区域で、気象特性、災害特性及び地理的特性により府県予報区を分割しています。
二次細分区域とは、気象警報・注意報の発表に用いる区域で、市町村(東京特別区は区)を原則としていますが、一部市町村を分割して設定している場合があります。
先述している福井県の福井市や敦賀市は平地で12時間で30cm、山地で35cmの降雪が予想されると発表されます。
また、実際に大雪になると「顕著な大雪に関する気象情報」が発表されます。
福井県の場合、6時間で平地25cm、山地で35cmの降雪が観測され、その後12時間で35cmから50cmの雪が降り続くと予想された場合に発表されます。
「顕著な大雪に関する気象情報」は、車の立往生など、大規模な交通障害のおそれが高まっていることを伝える情報です。
この情報が発表された場合は、車の立ち往生や大規模な交通障害の発生の恐れがあるので「不要不急の外出はしないでください」ということになります。


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