渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
総務省が2月7日に発表した家計調査によると2024年12月のエンゲル係数(2人以上世帯)は32.2%と30%を超え、1982年以来の高い水準となっています。
総務省が2024年1月24日に発表した消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食料品を除く総合指数が109.6となり、前年同月と比較して3.0%上昇しており、生鮮食料品を含む総合指数は110.7で前年同月と比較して3.6%の上昇となっています。
品目別ではキャベツが前年同月比で17.3%も上昇しており、とんかつ屋さんを苦しめています。
またそれより前の2024年9月の消費者物価指数では米類が44.7%上昇と49年ぶりの高値となり、食料品や調味料などほぼすべてのも次々と値上げしており、食品の上昇が家計を圧迫しています。
これにより政府は備蓄米の放出を行うとしていますが、放出量が少なければそれ程価格は下がらないのではないかとの指摘を受けています。
お米の消費量は年々減り続けているとは言え、お米は日本人の主食であり、お弁当などにも利用されるため、お弁当やランチの価格も上昇しており、ランチに至っては、松屋や吉野家などの牛丼チェーンやサイゼリヤなど大手の外食チェーン以外では、ほぼほぼ1,000円ではランチも食べられなくなってきています。
エンゲル係数は、消費支出に占める食料費の割合で、一般にエンゲル係数が低いほど生活水準が高いとされ、食費の上昇は低所得世帯が最も影響を受けます。
物価高を受けて野菜や果物、肉類で購入数量を控える動きがあり、消費支出が落ち込んでいます。
高度経済成長期は国民が豊かになり可処分所得が増えていったため、それに反比例する形でエンゲル係数は下がっていきましたが、2010年代からじわじわと上昇し、2014年から2015年にかけて一気にエンゲル係数が上昇したものの、その後の数年はあまり変化が見られませんでしたが、新型コロナウイルス禍以降の物価上昇で、エンゲル係数は急上昇しています。
厚生労働省の公表する毎月勤労統計調査によると、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金は2024年8月~10月はマイナスに転じており、11月は0.5、12月は0.6と改善してはいるものの実質賃金がしばらくプラスで推移しないと消費は改善しないという見方が強まっています。
日銀の「生活意識に関するアンケート調査」でも9割超えの人が物価が上がったと感じており、逆に企業は価格転嫁に対するアレルギーが無くなってきており、今後も食料品の値上がりの状況は暫く続くのではないかという見立てが大半を占めています。

エンゲル係数の上昇は不動産購入の心理的負担となる
上記のグラフは二人以上の勤労世帯の2000年以降のエンゲル係数の推移を表したグラフです。
二人以上の勤労世帯にフォーカスしたのは、マイホームを買う方により近い実数を知ってもらいたいためです。
エンゲル係数に含める職には外食費やお酒の費用も含まれます。
エンゲル係数の計算方法は、「エンゲル係数(%)= 食費 ÷ 消費支出 × 100」です。
消費支出はいわゆる生活費にあたり、食費のほかに住居費、光熱・水道費、被服費、交通・通信費、教育費、教養娯楽費などが含まれる一方で、貯金や税金、ローンの返済、生命保険・社会保険などの保険料などは含まれません。
食費の支出は人々の生活の実態に近く、食費は生きていくために必要不可欠なものなので、外食の回数や健康のためと称してお酒の量を減らす事はある程度可能ですが、その他の食費についてはなかなか削ることは出来ません。
エンゲル係数は収入により違いが出ますが、物価上昇前であれば、年収200万円~700万円であれば25%~15%程度くらいが一般的な数値かと思いますが、2024年は27.05%まで上昇しています。
仮に年収600万円でエンゲル係数が15%の場合は年間90万円、月7.5万円の食費となりますが、同じ年収600万円でエンゲル係数が27%の場合には年間162万円、月13.5万円の食費がかかることになり、年72万円、月額6万円の負担増となります。
月の負担額が6万円というのはかなりインパクトのある数字です。
仮に35年、金利0.8%、毎月6万円の支払いを仮定した場合は、約2,197万円のローンが組めることになります。
逆を言えば、エンゲル係数が27%の場合、物価上昇前と比べて、購入する不動産の予算を2,000万円程度下げないと、今まで通りの生活が出来なくなるという事になります。
円安、物価高、金利上昇という状況が重なり、一般的なサラリーマン世帯が無理をして都心部のマンションを購入した場合、更に管理費と修繕積立金も相次いで上昇しているので、かなり窮屈な生活を強いられることにもなりかねません。
家が大好きで、休みの日も家で過ごし、ほとんど外出しないという方であれば、あまり問題無いかもしれませんが、旅行や外食も楽しみたい方は、購入するエリアを再考した方が良いかもしれません。
都心から離れたエリアでも暮らしやすく、都心のような急激な価格上昇が無く、お手頃感のある物件もまだまだございますので、そのようなエリアを知りたい方は当社までお問合せください。

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