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タワマンは引っ越し代も高め!?

渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。

 

後一か月も過ぎれば春の引っ越しシーゾンが到来しますが、引っ越し業界では物流2024年問題の直接的な影響を受ける初めての繁忙期を迎えることになります。

 

下のグラフは2021年から2024年までの単身世帯とファミリー世帯の引っ越し料金の平均値の推移です。

 

毎年価格は上昇しており、2025年の、3月~4月の繁忙期と呼ばれる時期は、例年より料金が上がると予想されています。

 

これに加え、物価高や人手不足などといった要因が重なり、2025年は今までで最も料金相場が高い年になると予想されています。

 

株式会社エイチームライフデザインが運営するサイト「引越し侍」が引っ越し業者に対して行った「2025年繁忙期の引越し料金予想」調査では、2025年繁忙期の引っ越し料金は「現時点で予想できない」と答えた引っ越し業者を除くと、「変わらない」と答えた業者が最も多い結果となっていますが、次に多かったのは、「101~110%ほど値上げする」という回答だったようです。

 

この「引越し侍」のサイトは条件ごとにかなり詳細に価格を提示していたり、引っ越し業者のランク付けや、実際の見積もりの前に、個人情報を入力しなくても平均の見積額もサイト上で試算してくれたりするので、引っ越しを考えている人にとっては大変心強い味方になってくれるサイトだと思います。

 

今の時代はネットでなんでも比較されてしまうし、世の中がドライになっているので、実際に働いているドライバーや引越しの作業員達は、ご祝儀などはたぶんもらえないと思います。

 

私は大学生の時に同じ運送会社で3年程アルイバイトをしており、バブル最盛期でもあり殺人的に忙しかったのですが、当時はご祝儀を頂いたり、お昼にお寿司を頂いたりとかなり良い待遇を受けることが何度もありました。

 

私がアルバイトをしていた運送会社はデパートの丸井の荷物や家具屋さんの配達もしていたので、配送センターは土日はほぼパンク状態で、夜遅くなっても配達しないと配送センターに大型トラックが入れなくなり、国道16号線バイパスの大渋滞を招く要因にもなってしまうので、必死になって荷物をさばいていたことを記憶しています。

 

ただ、深夜に新婚さんのお宅に婚礼ダンスを届けに行って、常識知らずと言われて、怒られたことも何度かありましたが、今になっては良い経験だったと思っています。 

 

話を元に戻しますが、引っ越しには必ず別途料金がかかると思ってよいと思います。

 

自分で廃棄しようと思ったが廃棄できなかった物の廃棄代や、追加で持っていく物、自分たちの移動費用や場合によっては宿泊費や外食費、新たに購入する物、出ていく部屋と新しく入居する部屋の掃除費用なども含めるとかなりの金額になるので、予算を多めに見ておいた方が良いと思います。

出所 引越し侍のホームページ掲載資料を当社で編集
出所 引越し侍のホームページ掲載資料を当社で編集

運送会社も建設会社もお客様を選ぶ時代 

深刻な人手不足により、3K(汚い、きつい、危険)の代名詞の肉体労働が伴う、運送業界と建設業界は、お金を弾まないと人が全く集まらないようです。

 

私は、自分が働いていた会社も含めてゼネコンとのお付き合いが結構あるのですが、「相見積もりは断る」、「予め追加工事を認めない施主は断る」、「工期延長を認めない施主は断る」、「特命工事でも儲からないと判断した工事はやんわりと断る」という状態のようで、私がゼネコンの営業マン時代では考えられないくらい、施主と請負者の関係が逆転しています。

 

運送業界も同様のようで、お得意様だった法人契約でも値上げ交渉に理解を得られなかった法人とは契約を打ち切ったりしているようです。

 

同様に、運送業界の中で採算が合わないとされているのがタワマンの引っ越しです。

 

理由はトラックの駐車スペースから部屋までの距離が長く、養生に必要な資材や作業時間が増えるからです。

 

更に300戸を超え中には1,000戸以上にもなる大型タワマンはエントランスも豪華なので傷つけれれませんし、何せ人の流れが多く、エレベーターの数にも制約を受けるため、料金えお高くしても採算が合わないようです。

 

大型の新築マンションの入居の際には混乱を避けるため、デベロッパーが提携している指定業者しか利用できず、日程も勝手に決められてしまうため、業者のいいなりになるしかないのが実態のようです。

 

またこのような状況なので、多くのタワマンが竣工した後の入居予定日を、引っ越し料金が比較的安い6月にあわせて計画している物件も散見されます。

 

但し、大型タワマンの場合は工期が伸びる可能性も高いので、施主検査も含めて、竣工時期と引っ越し開始の時期に数か月間余裕を持たせた開発期間を設定しているようです。

 

背景には、繁忙期を中心に業務委託していた業者がコロナ禍で廃業したり、コロナ禍後は人手不足で業者が倒産したりして、受注できる件数を絞らざるを得ない状況のようで、更に人件費の高騰や協力会社への支払いの増加も影響しているようです。

 

既に、今春の引っ越しの問い合わせは増え始めているようで、物流の2024年問題で時間外労働は年間960時間までと上限が定められており、運送業界全体での融通も難しいようです。

 

そのため、国土交通省と公益社団法人全日本トラック協会、都道府県トラック協会は連携して、3月15日~4月6日を2025年における最繁忙期とし、引っ越しの日程を分散させるように呼びかけています。