渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
自己資金と頭金は同じものだと考えている人が多いですが、厳密に言うと違います。
自己資金の一部が頭金であり、自己資金とは「頭金+物件購入の際に必要になる諸経費」をいくら用意できるかと言う事になります。
物件を購入する際に「いくらまでなら自己資金をご用意できますか?」とお客様にお聞きすると、金利が安いので出来れば全額借入したいという方が結構いらっしゃいます。
そして、その中で、更に多くの方が物件にかかる諸経費(仲介手数料、ローン手数料、登記費用、火災保険料)を忘れており、「自己資金=頭金」と思われています。
弊社では内覧前に、このような誤解が無いように、予めオンラインなどでセミナー形式の個別面談を行わせて頂いていますが、中には、不動産の取引内容はだいたいわかっているとの事で、内覧を優先されるお客様もいらっしゃいます。
そのような方と実際に内覧した後に資金シミュレーションをご提示して、資金繰りのお話をさせて頂くと「え?そうなの!」ということになる場合が少なからずあります。
ちなみに新築マンションの場合は、売主であるデベロッパ-から直接物件を購入する場合は仲介手数料はかかりませんが、それでも住宅ローン借入時のローン手数料、つなぎ融資、登記費用、修繕積立基金、火災保険などのお金が必要になります。

フルローンとは物件価格でローンを組むことです
同様に諸経費も含めた総費用全額を借りることをフルローンと思っている方も多くいます。
フルローンとは物件価格の100%の融資を受けることで、諸経費まで借りるのはオーバーローンと言います。
フルローンの場合は購入にかかる諸経費は自己資金でまかないます。
重要事項説明時には住宅価格以上のローンを組む際には、必ず特約や特記事項として記載され説明を受けます。
諸経費だけだんくリフォームする費用も同時に借りる場合もオーバーローンとなります。
物件価格が上昇している今のような状況では、何ら問題が無い物件であれば、フルローンだけでなく、オーバーローンでも金融機関の審査は通る可能性が高いですが、不動産市場が下落基調になった場合には、オーバーローンを組むのは難しくなります。
理由はシンプルで、金融機関は万一の場合に備えて物件に抵当権を設定します。
不動産市場が上向きであれば、債権(住宅ローン残高)を回収できる可能性が高いですが、市場が下落基調の場合は、抵当権を設定した不動産の資産価値が下落し、債権を回収できなくなる可能性があります。
そのような下落市況では、物件価格を上回る諸経費まで貸し出してしまうと、貸し出したお金が回収できなくなる可能性が一段と高まるためです。
不動産市場が下落基調の際には、金融機関だけでなく、売り主側の不動産仲介会社も、売主を守るために、オーバーローンの買い付けは受理しないとうスタンスとる仲介会社も出てきます。
特にネットのみの事前審査は、審査基準があまく詳細まで見ていないので、本審査で審査が下りない(謝絶)場合が散見されるので、市況が上向きの今でも、ネット銀行の事前審査通過付の買い付けは受け付けないという戸建業者なども現に存在しています。
住宅ローン特約がある場合、少なくとも不動産売買契約締結後、本審査が通過するまで2週間程度はかかるので、買い付けから不動産売買契約そして住宅ローンの本審査の結果がわかるまで最低3週間程度は、売主サイドは物件の売却活動を実質辞めなければいけません。
通常不動産の取引は「早く売りたい人」と「早く買いたい人」によって構成されているので、もし、事前審査が通過していても本審査で落ちてしまい、住宅ローン特約により白紙解約になってしまった場合、この3週間が売主サイドにとっては、まるまる機会損失となってしまうからです。
物件をご購入しようと考えている多くの方が、まずは物件ありきで、ポータルサイトで物件探しをして、内覧から始めたり、ネットでざっと調べた知識で、不動産を購入しようとしますが、まず初めに、物件購入の基礎知識や相場観や市況を経験豊富なバイヤーズエージェント(買い手側の不動産仲介会社)に教えてもらうことが、最終的には、自分に合ったマイホームを購入する最適な道のりになると思います。
不動産購入の最初のステップは、失敗しないためにも経験豊富な不動産仲介会社でマイホーム購入のために基礎的な知識を身に着けてからにしましょう。
「急がば回れ」が大事です。

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