渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
2月27日に厚生労働省から2024年(令和6年)12月分の人口動態調査が公表され、2024年の人口動態が見えてきました。
今回の人口動態は速報なので、日本における日本人、日本における外国人、外国における日本人を含むので、日本人単体の数値はわかりませんが、かなりインパクトのある数値となっています。
以下概要になります。
出 生 数 720,988人 対前年比37,643人減少
死亡者数 1,618,684人 対前年比28,181人増加
自然増減数△897,696人 対前年比65,824人減少
死 産 数 16,031胎 対前年比122胎減少
婚姻件数 499,999組 対前年比10,718組増加
離婚件数 189,952組 対前年比2,154組増加
上記のデータで人口減の抑止となるのは、死産数が減少したことと、婚姻数が増加したのがせめてもの救いとなっていますが、それでも婚姻数は戦後2番目の少なさとなっています。

コロナ禍を経て家族に対する価値観が変わった!?
日本政府は少子化のスピードが早いため、岸田政権時の2023年1月に「異次元の少子化対策」として、経済的支援の強化と若い世代の所得向上、子育て世帯への支援拡充、共働き・共育ての推進、社会全体の意識改革という4つの柱で構成された政策を打ち出しました。
経済的支援の強化としては、児童手当の所得制限の撤廃や高校卒業までの支給期間の延長、第三子以降には支給額を3万円に倍増すること、若年夫婦世帯や子育て世帯がフラット35による借り入れを行った際の金利引き下げ優遇等が盛り込まれました。
これにより、待機児童数の減少や、保育士の給与引き上げなどの見直しも進んでいます。
また男性の育児休暇の取得も2023年度には初めて3割を超えて過去最高になっています。
このような政策を打ち出しても、根本的な少子化の解決にはつながっていません。
コロナ禍で家族の絆が強まった一方で、若い世代はコロナ禍で、飲み会や友達と一緒に遊ぶ機会やクラブ活動なども極端に制限され、自宅で一人で過ごすライフスタイルが定着してしまい、家族を持ちたいと言う意識が薄れてしまったという説もあります。
実際にコロナ禍で潜在的に失われた婚姻数は9.4万組、出生数は17.9万人という推計も出ています。
話は変わりますが、フランスは経済的支援や厚いサポートによる少子化対策が功を奏し、出生数が増加していましたが、現在は、その効果が薄れているとされています。
よく、中学時代の同級生のお母さんが言っていましたが、昔は遊ぶものが無かったので、子作りに専念できたが、今は世の中にありとあらゆる欲望を満たすものがあり、それらの欲望を満たすためにはお金もかかるので、子供の数が増えないのは当たり前と言っていましたが、今となっては、ある意味、的を得ている言葉と感じています。
先述したように、2024年の自然増減数が△897,696人となっており、この人数は、2025年2月1日現在の和歌山県の推計人口876,030人(全国40位)、秋田県890,655人(全国39位)の人口と匹敵する数となっています。
この勢いで人口減少が進めば、社会保障制度における現役世代の社会保険料の負担が更に重くなるだけでなく、人口が減少すれば、八潮市で発生した下水道管の老朽化による道路陥没事故や全国各地で発生している水道管の老朽化による水漏れなどの生活の生命線とも言える社会インフラの更新工事などにも大きな影響を及ぼすことになります。
一刻も早くコンパクトシティ化を進め、都市再生特別措置法第81条(立地適正化計画)に規定する「居住誘導区域」以外のエリアでの住宅開発の抑制をある程度強制的に行うなどをしないと国が破綻しかねない状況に陥る可能性があります。
子供の数が年々減少すれば、その子たちが将来、結婚適齢期を迎えた際には、絶対数が少ないので、婚姻件数も必然的に減少します。
となると婚外子が少ない日本では、結婚するカップルが年々確実に減少していくので、子供の数も確実に減少していきます。
これに歯止めをかけるためには既に結婚している夫婦へに対する支援も必要です。
本年4月からは夫婦が共に14日以上の育児休暇を取得した場合には、最大で28日まで手取り額の10割の給付金を受けとる制度も始まりますが、この一時的な支給制度だけでは、出生数の減少に歯止めはかからないと思われます。
よく、子育てが実質的に女性のワンオペになるという話が出ますが、日本は男女平等の実現度合いを示す指数が146か国中118位という現状のなかでは、男性の長時間労働の現状や、キャリアを積みたい女性の昇進等が制限されてしまうマミートラックを改善しない限り、なかなか出生率はあがらないと思われます。
現実を見据え、少子化を前提とした、社会保障制度の見直しだけでなく、道路、下水道、水道など、全国隅々まで張り巡らされた社会インフラの取捨選択もしていかなければならない時期に来ていると思います。


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