渋谷区で主として中古マンションの売買仲介を行っている株式会社リアルプロ・ホールディングスの遠藤です。
今日は、火災保険の中の水災補償についてのお話をしたいと思います。
火災保険はお住まいの住宅で生じた様々なトラブルに対して補償してくれる非常に頼りになる保険です。
しかし、近年は大規模自然災害が多数発生し、保険料はここ数年だけでも何度か上がっており、費用負担が重くなっています。
そのため、少しでも保険料を抑えたいという方が多くなり、マンションの3階以上に住まわれる方の中には、水災補償の部分を外した水災補償対象外プランで契約をする方も増えています。
保険会社も以前はフルサポートプランを前面に打ち出して、水災補償対象外プランの広告もあえて行わず、また営業の方もマンションの上層階であっても水災補償がついたフルサポートプランをベースに営業していましたが、時代はよりシビアになってきたのかもしれません。
水災とは台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石等によって、保険の対象である建物または保険の対象である家財のある建物が床上浸水もしくは地盤面より45cmを超える浸水により、保険の対象に損害が発生した場合または保険の対象である建物または家財に再調達価額の30%以上の損害が発生した場合に補償される契約をいいます。
水災の認定は、建物ごとに行われ、庭木、屋外設備等は、これらが付属する建物の水災の認定によるものとされ、敷地内の屋外に所在する家財については、その建物に収容される家財の水災の認定によるものとしています。
集中豪雨や台風による河川氾濫、内水氾濫、土砂災害といった「水災」は、一度被災すると復旧に多額の費用がかかります。
三井住友海上の「GK(ゴールキーパー)」という住まいの保険の説明資料では、水災は保険金の支払件数に占める割合は1.7%と少ないですが、保険金の支払金額としては14.2%を占めており、一旦被災すると多額の費用がかかることがわかります。

全国一律であった水災料率は今は細分化されています
保険料を計算するための基になる数値を料率といいますが、水災料率は、火災保険料を計算するにあたって、水災リスクを保険料に織り込むためのものです。
台風(風災)や雪災などの料率は、地域ごとに差を設けていますが、水災料率は、これまで地域ごとのデータが不十分であったことなどから、地域ごとに差を設けず全国一律で計算していましたが、水災による損害が増加し、火災保険料も値上げが続く中、水災料率の見直しが行われました。
背景には、 地域間の水災リスクの違いによる保険料の公平化の必要性やハザードマップなど、保険契約者が得られる水災のリスク情報が充実していく一方で、自分のリスクは低いと判断した人が、保険料抑えるために自分の火災保険から水災の補償を外す傾向が増えており、今後の水災保険料の値上げに繋がることで水災補償をつけられない人が出てしまう可能性が生じることが懸念されており、また、金融庁の「火災保険水災料率に関する有識者懇談会」での議論を踏まえて、全国一律であった水災料率を2024年10月1日から細分化しました。
細分化の単位は市区町村別となっており、保険料が最も安い「1等地」から保険料が最も高い「5等地」までの5区分となっており、保険料が最も高い地域は、最も安い地域と比較して約1.2倍の保険料となっています。
下記の損害保険料率算出機構のホームページから水災地の区分を検索することができます。
また、単に水災補償対象外プランにして保険料を抑えるのではなく、水災支払限度額特約といったプランでも保険料を抑えることが可能です。
逆に、現在の住まいは省エネ住宅が増加し、そのため家には高額な機械設備が多くなっており、これらはフルサポートプランでもカバーしていません。
例としては空調冷暖房設備、給湯設備、受電・発電・蓄電設備等の機械設備などが該当し、これらを1回の事故につき1敷地内ごとに100万円を限度として保証するプランなどもあります。
水災リスク等が少ないエリアであれば水災補償対象外プランも検討可
水災リスクには、単なる河川の氾濫や堤防の決壊などによる浸水だけでなく、土砂崩れ、鉄砲水、大雨による排水管の逆流なども水災補償の部分になっています。
そのため、河川から離れていても山自体が崩壊するような大規模土砂災害などが発生した場合、マンションの中層階ぐらいまで被害がでる場合もあります。
実際に、2024年7月12日未明に起きた松山城で起きた土砂災害ではマンションの7階部分辺りまで土砂崩れでなぎ倒された木々がバルコニー部分にまで達していました。
この土砂崩れで、城山の北東側が幅50m高さ100mにわたって崩れ、民家3棟が全壊、マンションにも土砂が流入し、男女3人が亡くなっています。
このような被害も実際に発生しており、繰り返しになりますが、水災リスクは、外水氾濫(河川の氾濫など)だけではないので、「予期せぬ水災の発生時に補償が受けられない」といった恐れもあるのでその点に関しては注意が必要です。
日本は平地が少なく、平地では河川の氾濫の恐れがあり、また、山間部だけでなく松山城の土砂災害のように街中でも、このような土砂災害が発生する可能性がありますが、土砂災害ハザードマップや浸水ハザードマップなどで確認し、いずれの資料でも、水災の危険性が少ない場所であれば、水災補償対象外プランにしても問題無いかと思います。
但し荒川や利根川、江戸川といった大河川が氾濫した場合には、10m以上も浸水する危険性があるので、このようなエリアではそもそもマンションであっても購入しない方が賢明な判断かと思います(戸建はNG)が、様々な事情でそのようなエリアでマンションを購入する場合には最低でも4階以上のお部屋を購入した方が良いと思います。
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